遺産分割協議・調停

遺産分割協議・調停

◾️目次

1、遺産分割の問題が起きるケース
2、遺産分割問題の流れ
①  相続調査
② 遺産分割協議、交渉
③ 遺産分割調停、審判
④ 審判
⑤ 遺産分割訴訟
3.その他
名義変更 〜遺産分割協議後〜
(1)はじめに
(2)相続に伴う名義変更までの流れ
(3)各種財産の名義変更
遺産分割協議のやり直し
(1)遺産分割協議が無効の場合
(2)有効な遺産分割協議を,相続人全員の合意でやり直す場合
認知症・未成年者・不在者がいる場合の遺産分割協議
(1)認知症の方がいる場合
(2)未成年者がいる場合
(3)不在者がいる場合

1、遺産分割の問題が起きるケース

 ・兄弟から、理不尽な遺産分割協議書に判を押すように求められた

 ・母と姉が結託して、自分に不利な遺産分割を進めている

 ・遺言書が見つかったが、自分の取り分が少なく、本人が作成したのか、疑わしい

 ・腹違いの兄弟と遺産分割をすることになったが、20年来会ったこともなく、揉めそうである

 遺産分割で相続人同士が揉めるのは、当事者のうち、誰かが自分の都合の良いように、理不尽な要求を通そうとしているためです。特に肉親同士の争いですから、一旦、誰かが感情的になってしまうと、収まりがつかなくなってしまうのです。

その結果、相続人が当事者同士で話し合っても埒が明かず、争いは長期化し、精神的に消耗戦になってしまうこともしばしばです。

また、次のような場合は、相続争いに発展する可能性が高いと言えます。

 ・相続人同士の仲が悪い場合

 ・相続人同士が疎遠で、長い間あっていない場合

 ・被相続人と相続人の一部が、生前から結託しているような場合

 ・被相続人が愛人や宗教関係者、第三者に取り込まれていた場合

 ・腹違いの兄弟がいる場合

相続争いが発生してした場合や、揉めそうな場合、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士は客観的な状況を把握した上で、あなたが望まれる相続を実現するお手伝いをしていきます。当然、法定相続(法律で定められた相続のルール)が基本になりますが、実際の遺産分割の現場では、生前の事情によって、これを調整することが必要になります。

そのためには、最終的に調停や裁判を見据えて、客観的な証拠を集めて、説得力のある主張を組み立てなければなりません。

今抱えている疑問、浮上している問題、親類縁者の状況、故人のこと、等々、より多くの情報があればあるほど、アドバイスがしやすくなります。

2、遺産分割問題の流れ

さて、相続が発生して、遺産分割を行う場合、大きく分けると2つの流れがあります。

相続発生 → 遺言がある場合  原則として、遺言に沿って相続する

     → 遺言がない場合  相続人間で、遺産分割協書を作成の上、相続する

遺言がある場合

被相続人の遺言がある場合は、原則として、遺言に沿って相続を行います。

しかし、遺言書に不備があったり、本人が書いたものがどうか確認できない場合などには、遺言の効力が認められないことがあります。遺言無効確認訴訟を提起する必要がある場合があります。

また、例えば、兄弟が3人いるのに「長男に全てを相続させる」というような場合には、他の兄弟2人は遺留分を侵害されることになりますので、長男に対して、遺留分減殺請求を行うことができます。

仮に遺言によって、遺留分が侵害されている場合でも、遺留分を減殺請求するには1年間という期限がありますので、期限を過ぎて放置すると、請求が認められなくなりますので、ご注意ください。

遺言がない場合

被相続人の遺言がない場合には、法律によって定められた相続人(法定相続人)全員による、遺産分割協議書を作成することになります。

遺産分割協議書がなければ、被相続人の財産を相続する手続きを行うことができません。

この場合の遺産分割の流れは次のようになります。

① 相続調査 → ② 遺産分割協議 → ③ 遺産分割調停 → ④ 審判 → ⑤ 遺産分割訴訟

①  相続調査

遺産分割協議に当っては、相続人(法定相続人)と相続財産の確定が必要です。相続人の戸籍謄本の収集や、相続財産の目録を作成します。

遺産分割協議が終了後に、新たな相続人が見つかった場合などは、無効になってしまいますので、注意が必要です。

そのような可能性がある場合は、あらかじめ、専門家である弁護士に相続調査を頼んだほうが良いでしょう。

② 遺産分割協議、交渉

相続調査によって、相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を行います。これは、相続人による話し合いです。話し合いがまとまった場合は、その内容にもとづいて、遺産分割協議書を作成し、これによって相続を行います。

この点,遺産分割協議書は、相続人全員が署名・捺印し、全員分を作成して、各人が保管します。遺産分割協議書がなければ、不動産の所有権の移転登記などの相続手続きが行えません。

逆に言うと、遺産分割協議書があれば、これらの相続手続きを行うことができます。

そのため、相続人の1人又は複数人が結託して、勝手に遺産分割協議書を作成し、署名・捺印を迫られることがあります。

このようなケースで安易に署名・捺印してしまうと、当然、所有権の移転手続きなどが進んでしまいます。納得できない場合は、保留して、専門家である弁護士に相談ください。

また、相続人同士で遺産分割協議を行う場合、事前に専門家である弁護士に相談しておくと良いでしょう。弁護士はあなたの状況や要望を聞き取った上で、どのような遺産分割協議書を作成すべきか、アドバイスを行います。遺産分割協議の場で不用意な発言をすると、後であなたに不利に働いてしまうこともあります。

当然、あなたと他の相続人の主張が対立しそうな場合には、その対処方法も含めてアドバイスいたします。

さらに、場合によっては、そもそも遺産分割協議自体を弁護士に代理してもらった方が良い場合もあります。

・当事者同士では、遺産分割協議がまとまりそうにない場合
・他の相続人が理不尽な要求をしている場合
・他の相続人が理不尽な要求をしているが、力関係が不利な場合
・相手が口達者で、丸め込まれてしまいそうな場合
・他の相続人同士が結託している場合
・他の相続人が、税理士など、第三者からのアドバイスを受けている場合
・自身で、遺産分割協議を行うことが精神的に苦痛である場合

このような場合は、弁護士に遺産分割協議を代理してもらうことも1つの方法です。

弁護士に代理人としての交渉を依頼した場合、当然、弁護士は調停や裁判になった場合の結果を踏まえて交渉を行いますし、あなたの要望にできるだけ沿うように、証拠を集め、相手を説得する方法を考えます。

遺産分割協議が長期化して、調停や裁判に移行するよりも、早い段階で、専門家に交渉を任せた方が、結果として、スピーディーで、あなたの希望に沿った解決になることもあります。

遺産分割協議に不安がある場合や、揉めそうな場合、揉めている場合は、一度は専門家である弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

③ 遺産分割調停、審判

・どうしても遺産分割協議がまとまらない

・話合いが堂々めぐりで一向に進まない

・相続人の一部が、そもそも話し合いに応じてくれない

このような場合は、遺産分割調停を家庭裁判所に申立てる方法があります。調停を申し立てるべきか、交渉を続けるべきか、判断が難しい場合は、専門家である弁護士に相談されると良いでしょう。

また、上記のような状況で、逆に他の相続人から調停を申し立てられることがありますが、いきなり調停を申し立てられた側は戸惑ってしまいます。そのような場合も、弁護士にご相談ください。

〇遺産分割調停とは

遺産分割調停は、相手方住所地を管轄する家庭裁判所に、相続人の1人又は複数人が、残りの相続人を相手に申し立てます。

調停では、調停委員を仲介者として、相手方と交渉を進めます。調停は月1回程度行われ、調停委員は仲介者として、遺産分割がまとまるようにアドバイスをしてくれます。

調停がまとまったら、調停調書にその内容がまとめられ、それにもとづいて相続を行うことになります。

調停のポイント

調停を有利に進めるためには、いかに調停委員に納得してもらえるように、証拠を用い、主張を組み立てるか、ということが重要になります。

その際、当然、審判に移行することを想定して、主張を組み立てることが重要です。

調停に当っては、弁護士に事前にアドバイスを受けるか、代理人になってもらって、調停に出てもらうのが良いでしょう。

また、調停の相手方が弁護士をつけてきた場合には、プロ対素人の構図になってしまい、不利になってしまう場合が多いと思われますので、その場合は、こちらも弁護士をつけられることをお勧めします。

この点,弁護士に調停を依頼した場合,弁護士がお客様の主張を書面にして証拠資料と一緒に裁判所に提出し,また調停期日に毎回出席します。主張書面の内容で話し合いの方向性が左右されることも多く,調停における書面の提出は重要な意味があります。また,調停で提出された書面は,調停が不成立となった場合には審判手続きの資料として引き継がれるので,その意味でも主張書面の内容が非常に重要となってきます。

〇遺産分割審判とは

遺産分割の調停が不調に終わった場合、自動的に審判手続きに移行します。

審判では、裁判官が、双方の主張を聞いたうえで、審判を下します。審判に不服がある場合は、2週間以内に抗告する必要があります。

遺産分割の調停や審判について、不明な点や不安なことがありましたら、一人で悩まずに弁護士にご相談されることをお勧めします。

④ 審判 〜遺産分割審判に対する不服申立手続(抗告)〜

家庭裁判所の審判に不服がある当事者は,2週間以内に高等裁判所に抗告の申立をすることができます。抗告がなされると高等裁判所は遺産分割の方法をさらに審理したうえで決定を出します。

高等裁判所の決定に不服がある場合,さらに最高裁判所に抗告(特別抗告,許可抗告)をする制度もありますが,抗告できる理由が,憲法違反や法令の解釈に関する重要問題など極めて限定されていることから,最高裁判所への抗告が認められることは稀です。

⑤ 遺産分割訴訟 〜遺産分割と訴訟手続きの関係〜

遺産分割審判や抗告審終了後に訴訟手続きに移行するのか

遺産分割審判や抗告審が終了し、それでも納得がいかない場合,その後は遺産分割訴訟ができるのではないかと考える方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、法律上そのような手続きは認められておらず,遺産分割についての手続きは、これまで述べてきた「遺産分割協議」「遺産分割調停」「遺産分割審判」「抗告」がすべてであり,その後あらためて訴訟をすることはできません。

遺産相続トラブルで訴訟が起こる事例とは?

遺産相続トラブルが起こったとき、それが「遺産分割方法」に関するものであれば、遺産分割調停、審判、抗告という手続きを利用します。

一方,「遺産分割の前提問題」となる部分についての争いについては、遺産分割手続きでは解決できないので、遺産分割協議前に訴訟によって解決しておく場合があります。

具体的には、
   ・遺言書の有効性
   ・いかなる財産が相続財産に含まれるのか
   ・誰が相続人に含まれるのか,もしくは含まれないのか
  などが問題になります。

これらは,遺産分割の前提問題となるので事前に確定しておく必要があります。

3.その他

名義変更 〜遺産分割協議後〜

(1)はじめに

第三者から家や車を買ったりすると前の持ち主から買主へと名義を変更する手続きが必要です。
相続であってもそれらの場合と同様,取得した不動産や,預貯金について名義を変更する必要があります。

(2)相続に伴う名義変更までの流れ

相続にともなう名義変更までの流れをご説明します。
まず,相続を行うためには誰が相続するのかを確定する必要があります。相続人が確定しなければ相続手続を進めていくことはできません。
相続人が確定した後はいかなる相続財産があるかを調査します。どこにどれだけの財産があるのかを把握できなければ,遺産分割の話合いを進めることができません。
相続人と相続財産が確定すると,相続人全員で遺産分割協議を行い,誰がどの財産を相続するのかを決定します。そして,話し合いがまとまれば遺産分割協議書を作成します。
誰がどの相続財産を相続するのか確定すると,各相続人が自身の相続財産について名義変更の手続を行います。

(3)各種財産の名義変更

①不動産の名義変更(相続登記)

不動産の相続登記とは相続による不動産の登記名義の変更手続きのことを、相続登記といいます。

ア 不動産の相続登記の種類

不動産の相続登記には,①遺言によって相続登記をする場合,②遺産分割協議によって相続登記する場合,③共有の相続登記をする場合の3種類があります。

イ 不動産の相続登記の申請方法

次に、不動産の相続登記の具体的な申請方法をご説明します。
不動産の相続登記を申請するときには、不動産がある地域を管轄する法務局に対して登記申請書という書類を提出します。
登記申請書の書式は、法務局でもらうことができますし、インターネット上でもダウンロードできます。
登記申請書に必要事項を記載し,法務局に提出します。
その際,
①被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本,
②被相続人の住民票の除票,
③相続人全員分の住民票,
④対象不動産の固定資産評価証明書
⑤対象不動産の全部事項証明書,
⑥遺言書
によって相続を行う場合には、遺言書が必要です。
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、検認手続きを経ている必要があります。
遺産分割協議によって相続登記を行う場合には、遺産分割協議書と相続人全員分の印鑑証明書が必要です。
遺産分割協議書には、相続人全員が実印にて署名押印をしている必要があります。
不動産の相続登記の申請をすると、特に問題がなければ申請書の内容通りに不動産の名義が書き換わります。
すると、法務局から登記識別情報という通知書をもらうことができます。

ウ 不動産の相続登記の期限

不動産の相続登記に期限はありません。
相続登記をせずに放置していたとしても,罰則が科されることはありません。
しかし,相続登記をしなくても、相続人には固定資産税の納付義務はあります。
また、相続登記することなく放置していると,誰がその不動産の相続人であるかがわからなくなり相続不動産を活用出来ない,他の相続人が勝手に売却したり賃貸する可能性がある,他の相続人が勝手に共有登記をする可能性がある,再度相続が生じるとその後の相続手続が複雑になる等の不都合が生じます。
そのため,相続登記に期限がないとしても不動産を相続したら早急に登記手続きを済ませることをお勧めします。

②自動車の名義変更

 ア 自動車の名義を変更する必要性

自動車の持ち主が死亡した場合,その自動車は相続人の共有財産となります。
相続人のうちの誰かが乗り続ける場合はもちろんですが、売却や譲渡、または廃車する場合にも、相続手続として自動車の名義変更が必要となります。
相続による車の名義変更を放置していると,いざ車を売却・廃車にしようと考えたときにすべての相続人の必要書類がそろわず,名義変更ができないというトラブルが起こったり、引っ越しで本籍地が遠くなり必要書類を揃える手間が異常にかかってしまうというような不都合が生じることになります。

イ 相続による名義変更方法

相続による車の名義変更を行う方法をご紹介いたします。
複数の相続人がいる場合と、単独相続の場合では書類の内容が異なります。

(ア)複数の相続人がいる場合の名義変更に必要な書類

相続人が複数いる場合の名義変更の必要書類は、以下7つです。
①車検証(自動車検査証)
②被相続人の戸籍謄本または除籍謄本 ※被相続人の死亡の事実を証明する書類
③被相続人の戸籍の全部事項証明書 ※または相続人全員の戸籍謄本
④遺産分割協議書
⑤代表相続人の印鑑登録証明書 ※発行から3か月以内のもの
⑥代表相続人の実印の準備 ※または委任状に実印を押印したもの
⑦車庫証明書

(イ)単独相続の場合の名義変更に必要な書類

単独相続する場合の名義変更の必要書類は、以下6つです。
①車検証(自動車検査証)
②被相続人の戸籍謄本または除籍謄本 ※被相続人の死亡の事実を証明する書類
③被相続人の戸籍の全部事項証明書 ※または相続人の戸籍謄本
④相続人の印鑑登録証明書 ※発行から3か月以内のもの
⑤相続人の実印の準備 ※または委任状に実印を押印したもの
⑥車庫証明書

 (ウ)運輸支局での手続き

必要書類が揃ったら、運輸支局で名義変更手続きを行います。
運輸支局で『手数料納付書』、『自動車税・自動車取得税申告書』、『申請書』を取得します。
印紙の販売窓口で名義変更の登録手数料を支払い、印紙を購入したら手数料納付書に貼り付けます。
あらかじめ揃えた書類と手数料納付書、自動車税・自動車取得税申告書、申請書、を窓口に提出し、不備がなければ新しい車検証が交付され名義変更手続きが完了します。

③預貯金の名義変更

 ア 預金残高の把握

被相続人が死亡し,金融機関が被相続人の死亡を確認した時点で,被相続人名義の口座は凍結され、口座からの預貯金の引き落とし,解約,入金等が基本的にできなくなります
  しかし、先にのべたように,遺産分割協議を進めるにあたっては、被相続人がどの程度の預貯金を有しているのかを把握する必要があります。
  この場合,金融機関に対し,「残高証明書」の発行依頼を行います。
残高証明書の発行依頼に必要な書類は以下の通りです
①被相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
②被相続人の除籍全部事項証明書(除籍謄本)
③依頼者の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
④依頼者の実印・印鑑証明書

 イ被相続人名義の口座預貯金の払戻し・解約手続

相続が確定するまで相続人全員の合意がなければ、原則として口座からの預貯金の引出し,解約入金等はできません。
これは自分の法定相続分であっても同様です。
凍結された預貯金口座の払戻し手続は、遺産分割協議書締結の前後で異なります。

(ア)遺産分割の前に預貯金を払戻しする場合

遺産分割前に預貯金を払い戻すには
①相続人全員の合意による方法
②預貯金債権の仮払いによる方法
③家庭裁判所の保全処分による方法
の3つがあります。

(イ)遺産分割の後に払戻しする場合

遺産分割協議がまとまり遺産分割協議書を作成した後に預金の払い戻しをする場合,次の書類を銀行に提出することで預金を払い戻すことができます。
①金融機関所定の払戻し請求書
②相続人全員の印鑑証明書
③被相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)(出生から死亡までのもの全て)
④各相続人の現在の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
⑤被相続人の預金通帳
④遺産分割協議書(相続人全員の署名と実印の捺印)

④株式・国債の名義変更

ア 株式

被相続人名義の株式が、「上場株式」か「非上場株式」かによって手続が異なります。

(ア)上場会社の場合

上場株式は、証券取引所を介して取引が行われますので、証券会社とその株式を発行した株式会社の両方で手続を行わなければなりません。
証券会社で取引口座の名義変更手続が終了した後は、株式を発行している株式会社の株主名簿の名義変更手続を行いますが、この手続に関しては証券会社や信託銀行等が代行して手配してくれます。

(イ)非上場会社の場合

非上場会社については、それぞれの会社によって手続が異なるので、発行した株式会社に直接問い合わせて確認する必要があります。。

イ 国債

個人向け国債の口座名義人(特定贈与信託の受益者を含む)がお亡くなりになられた場合は、相続人の口座へ移管することが可能です。
また、個人向け国債には、中途換金ができない期間がありますが、相続人による中途換金が特例で認められています。
金融機関によって手続が異なる場合がありますので、手続についてはお取引のある金融機関へお問い合わせ下さい。

遺産分割協議のやり直し

一度相続人全員で話し合って遺産分割協議をした後に,相続人の方から,「遺産分割協議は無効なので,もう一度やり直したい」というご相談を受けることがあります。

遺産分割協議が成立した後で,再度やり直すことは可能なのでしょうか?

結論からいうと,次の2つの場合,すなわち,

⒈ 遺産分割協議が無効の場合

⒉ 有効な遺産分割協議を,相続人全員の合意でやり直す場合

には,条件を満たせば,やり直しはできます。

以下では,上記1.及び2.の遺産分割協議のやり直しができる場合について,注意点を含めて説明させていただきます。

(1)遺産分割協議が無効の場合

被相続人が亡くなり,遺言書がない場合や,遺言書はあるものの一部の相続財産についての処分方法しか指定されておらず,残りの遺産について相続人間の協議で決めなければならないような場合に,遺産分割協議が行われます。

具体的には,①法定相続人(法律で定められた相続人)全員が参加して,②被相続人の相続財産を分ける方法を話し合うことになります。そして,③各相続人の自由意思に基づき,遺産分割の方法について合意に達した場合には,遺産分割協議が成立します。

上記①から③が,有効な遺産分割協議が成立するためのポイントになります。

下に挙げる具体例のように,①から③に関わる不備や欠落(瑕疵)がある場合には,遺産分割協議が無効になる場合があり,その場合には再度の協議を行うことになります。

①法定相続人(法律で定められた相続人)全員の参加にかかる瑕疵

・共同相続人の一部を除外して,遺産分割協議が行われた場合

・相続人以外の者が遺産分割協議に参加していた場合

→このような場合には,相続回復請求権(民法884条)を行使して相続人たる地位を回復し,再度の公正な遺産分割のやり直しを求めていくことになります。

相続回復請求権の行使には期間制限がありますから,そのような場合には,早めに専門家にご相談されることをお勧めします。

②被相続人の相続財産にかかる瑕疵

・遺産分割後に新たな財産が見つかった場合

・遺産分割に大きくかかわるような相続財産を脱漏して協議が行われた場合

・遺産分割で取得した財産が実際には存在しなかった場合

→この場合には,財産の種類や性質,遺産分割後に発覚した財産の額や総額に占める割合,遺産分割協議書に書かれた規定によって,追加で遺産分割を行うことができるかどうか,遺産分割を解除できるかどうかの判断が異なります。

一度弁護士などの専門家にご相談されることをお勧めします。

③各相続人の自由意思にかかる瑕疵

・詐欺や脅迫によって遺産分割協議が行われた場合

・精神上の障害により判断能力のない相続人が加わって遺産分割協議が行われた場合

・遺産分割の意思表示に錯誤(≒思い違い,勘違い)があったとき

・遺産分割協議書作成後に遺言が見つかり,遺言があることが分かっていれば,協議書のようにはならなかったと考えられる場合

→相続人間に不公平な内容の遺産分割であっても,全員がそのことを納得していたのであれば,それは当事者の自由意思に基づくものですから有効です。単に気が変わって,不公平だからもう一度やり直したいというだけでは,一旦有効に成立した遺産分割協議を無効にすることはできません。

これに対し,上の例のように,成立した遺産分割協議について,錯誤(民法95条),詐欺又は強迫(同96条)が成立する場合には,一旦成立した遺産分割協議の取り消しを主張することが出来ます。

法的判断が必要となるため,遺産分割協議の無効を主張したいとお考えの場合には,一度弁護士などの専門家にご相談されることをお勧めします。

(2)有効な遺産分割協議を,相続人全員の合意でやり直す場合

相続人の全員が,一旦成立した遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除したうえで,改めて遺産分割協議をやり直すことは,基本的に認められています。

ただ,繰り返しになりますが,相続人全員が遺産分割協議をやり直すことに同意していなければなりません。

また,協議では話し合いがまとまらず,家庭裁判所で調停又は審判によって遺産分割が行われた場合には,相続人全員の合意があったとしても,特別の事情のない限り,やり直しをすることは難しくなります。

相続人全員の合意の下で遺産分割協議をやり直すことになった場合,法律上遺産分割協議を行うべき期限などは定められていませんから,いつでもやり直しをすることができます。

ただ,実際問題として,最初の遺産分割から年月を経てしまうと,現金の一部が相続人に処分されていたり,不動産の価値が減少していたりすることがあり,必ずしも当初の遺産を前提とした再度の話し合いができるとは限りません。

さらに,合意解除に基づいて遺産分割協議をやり直した場合には,追加で税金を負担しなければならないこともあります。

このように,遺産分割協議のやり直しをすることは不可能ではありませんが,やり直しができる場合は限定的ですし,時間的にも,費用の面でも余分なコストがかかってきます。

一度の遺産分割協議で終わらせることができるよう,専門家である弁護士に依頼するなどして,トラブルの芽を摘んでおくことが重要です。

そうであっても,遺産分割協議の成立後に思いがけない事情が判明したため,やり直しを希望される事態もあるかもしれません。

そのような場合には,事案が複雑化しているケースも少なくありませんから,一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

認知症・未成年者・不在者がいる場合の遺産分割協議

遺産を分けるための遺産分割協議を成立させるためには,相続人全員の合意が必要ですが,そのためには,相続人全員が遺産分割協議を自らの意思に基づき行うことのできるだけの判断能力を有していなければなりません。

実際のケースでは,相続人の中に,認知症や精神障害,あるいは未成年者であるとか,相続人であることは明らかであるものの,所在不明のために遺産分割協議への参加を期待することのできない不在者が含まれていることがあります。

そのような場合には,これらの人たちを保護・支援して,あるいはその人たちの代わりに遺産分割協議を行うことで,それらの人々の相続人としての地位に基づく権利利益を保護する必要があります。

以下では,代表的なケースである,相続人が⒈認知症,⒉未成年者,⒊不在者である場合の遺産分割協議の進め方について,説明させていただきます。

(1)認知症の方がいる場合

民法は,各人の判断能力のレベルに応じて,法定後見制度として3種類の制度を設けています。

認知症の症状が重く,「精神の障害により,著しく判断能力が欠けている」と認められる場合には,「成年後見人」が選任されます。そこまで重い認知症でないものの,「精神の障害により,判断能力が著しく不十分」な方には「保佐人」,そして保佐人を付すべき場合よりもさらに軽い症状の場合には,「補助人」が選任されます。

そして,認知症の程度に応じて選任された成年後見人,保佐人又は補助人が,相続人である成年被後見人を代理して,他の相続人との間で遺産分割協議を進めていくことになります。

遺産分割協議が一旦成立した後に,実は認知症で判断能力が十分ではない相続人がいたことが判明した場合には,遺産分割協議が無効となり,再度の協議をやり直さなければならない事態になりかねません。

ご相談者の中には,「前の相続のときは,認知症の相続人にかわって自分が署名押印して相続手続をしたので,今回も同じようにして大丈夫だろう」と考えていらっしゃる方もいます。しかし,上記のようなリスクがありますから,慎重に判断すべきです。

将来の紛争を防止するため,相続人の中に軽度の認知症の方がいる場合にも,「保佐人」や「補助人」を選任しておくと安心です。

(2)未成年者がいる場合

一般に未成年者については,親権者(親権者がいない場合には,未成年後見人)が法定代理人として,未成年者の法律行為や財産管理を行います。

ただ,法定代理人と子どもの利益が相反する場合には,子どもの利益を最大限化反映するように行動することを法定代理人に期待することはできません。したがって,そのような場合には,法定代理人が未成年者を代理することはできず,家庭裁判所に対して未成年者の特別代理人を選任する必要があります(828条2項)。

典型例を挙げると,夫が死亡して妻と未成年の子どもが相続人となるケースでは,遺産分割協議について,妻と子どもの利益が対立することになります。

また,夫が妻と未成年の子ども2人を遺して死亡した場合,子ども2人の利益が対立することになるため,妻(母)が子ども2人の代理人になることはできなくなります。

「親権者が未成年者の代わりに,署名押印すればいいですよね」という質問をいただくことがありますが,この場合にも,利益相反行為にあたり,遺産分割協議が無効となる場合がありますから,注意が必要です。

ケースバイケースの判断となりますから,一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

(3)不在者がいる場合

遺産分割協議は相続人全員で行うのが基本ですから,相続人の中に不在者がいる場合には,遺産分割協議自体を行うことができなくなってしまいます。

そのような不都合性を回避するため,不在者の生死すら分からないといった場合の対処法として,次の2種類の制度が設けられています。

①家庭裁判所に対し,「不在者財産管理人」選任の申立てをする方法

「不在者」と認められるには条件があり,①不在者が1年以上行方不明であることが必要です。具体的には,警察に「捜索願」を出し,調べがつく範囲で不在者の現在(又は最後)の住所(居所)を調べてもなお,不在者の所在や生死が明らかとならないといった事情が必要です。

そのうえで,②親族などの利害関係人又は検察官が選任請求をすることが必要です。

なお,不在者の住所や居所を調査した過程については,すべて記録しておくようにしましょう。

一般的には,相続に利害関係のない「被相続人の親族」から,不在者財産管理人が選出されます。もし,適当な親族がいない場合には,家庭裁判所が,弁護士や司法書士などの専門家から選任されることになります。

そして,不在者管理人が選任されると,その不在者管理人が不在者である相続人の代理人として,遺産分割協議を進めていくことになります。

②生死不明者について失踪宣告を受けて死亡したものとみなす方法

失踪宣告には,「普通失踪」と「特別失踪」の2種類があります。

「普通失踪」とは,不在者の生死が7年間明らかでないときに,利害関係人の請求により,家庭裁判所が失踪宣告をなし,7年間の失踪期間の満了時に,死亡したものとみなすことをいいます(民法30条1項)。

また,「特別失踪」とは,戦地に赴いたり,沈没した船舶に乗っていたりといった危難に遭遇した者の生死が,上記のような危難が去った後1年間明らかでない場合に,利害関係人の請求により,家庭裁判所が失踪宣告をなし,危難の去った時に,死亡したものとみなすことをいいます(民法30条2項)。

なお,ここでいう「生死が明らかでない」(生死不明)とは,生存の証明も,死亡の証明もできない状態をいいます。

失踪宣告がなされることで,相続人である失踪者は死亡したものとみなされます。そのため,この場合には,失踪者の相続人が加わって,遺産分割協議を行うことが考えられます。

もっとも,失踪宣告を受けるには,失踪期間が満了するのを待たなければなりませんから,遺産分割を早期に解決することにはつながりにくいといえます。

そのため,⑴の不在者財産管理人の選任の申立てをする方法のほうが,利用しやすいといえます。

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