遺産分割調停を申立てるには?調停を起こすべきケースや期間・注意点について
遺産分割協議がスムーズに進まない場合、このままではいつまで経っても遺産に手を付けることができません。こうした状況を打開するには、「遺産分割調停」が有効です。
しかし、普段行うことのない家庭裁判所での手続きになるため、疑問や不安を抱えている方は多いのではないでしょうか?そこで今回は、遺産分割調停の申し立て方法、流れ、利点、デメリットといった、申し立て前に必ず知っておきたい知識について解説します。
目次
遺産分割調停の申し立てをお考えの方へ
遺産分割調停は、遺産相続における争いを解決する手段の一つとして利用される方法です。
家庭裁判所にて行われる手続きであるため、裁判官や裁判所から選任された調停委員が話し合いをリードしてくれます。遺産の分割に関する紛争が発生した場合、当事者間の話し合いだけでは進展が見込めない場合は、遺産分割調停の利用を視野に入れましょう。
遺産分割調停を申し立てたほうが良い場合
以下のような状況下にある場合は、遺産分割調停の申し立てが有効となります。
遺産分割に関する争いが発生している
遺産分割において相続人の対立や紛争が生じている場合、調停を通じて解決が見込めます。
遺産分割協議がいつまでも進展しない
何かしらの事情で遺産分割協議が進まない場合、中立的な第三者である調停委員を介して話し合うことで、今までになかった合意案が出る可能性があります。
遺産分割に関する法的知識が不足している
遺産分割は複雑な法的手続きを伴うことがあり、法的な専門知識が必要です。裁判官や調停委員の助言を受けながら進めることで、適切な分割方法を見つけることができます。
遺産分割調停に必要なこと
遺産分割調停を申し立てる際には、以下の点に留意しましょう。
申し立てをする場合に必要なこと
遺産分割調停を申し立てるためには、調停申立書を作成し、提出する必要があります。この申立書には、遺産分割に関する基本的な情報を記載します。
また、申し立て費用として、被相続人1人につき収入印紙1,200円分の貼付、裁判所ごとに指定された連絡用の郵便切手代が必要となります。
遺産分割調停の申し立てに必要な書類
申立書の他にも、以下の書類の作成・提出が必要となります。
- 当事者等目録
- 遺産目録
- 相続関係図
- 申立ての実情
- 特別受益目録等
- 添付書類(相続関係のわかる戸籍謄本・相続人全員の住民票等)
申立書の作成方法
申立書の作成は裁判所に記載例やひな形用意されているため、それほど難しいものではありません。しかし、正確かつ適切な記載が求められることから、ご自身で作成を検討している場合や簡単な質問がしたい場合は、裁判所の書記官に尋ねてみるのも良いでしょう。
といっても、裁判所の書記官は相談相手になってくれるわけではありません。具体的な内容について相談したい場合は、弁護士への相談を検討してください。
遺産分割調停の流れと所要期間
遺産分割調停の申し立てから解決までの流れと所要期間についてご説明します。
遺産分割調停の申立てから期日の流れ
遺産分割調停の申立てを行った後、裁判官や調停委員の都合を交えた上で、調停の日程が決定されます。申立書の提出から調停の実施までの期間は、裁判所側の状況にもよりますが、一般的には1~2か月後に期日指定されることが多くなっています。
調停にかかる期間
調停にかかる期間は、紛争の複雑さや相続人の協力度によっても異なります。早々に合意へと至れば数か月で解決することもありますが、合意に至らない場合は調停が長引く可能性もあります。場合によっては1年以上かかることもあります。
不成立になると審判に進展する
遺産分割調停が合意に至らない場合、調停は不成立となり、審判手続きへと移行します。
審判では裁判官が直接的に関与し、最終的な判断を下すことになります。なお、遺産分割審判は1回で終わるわけではありません。かかる期間はケースバイケースとなっていますが、中には決着まで1年以上かかるケースもあります。
遺産分割審判についてはこちらのページで詳しく解説しておりますのでご覧ください。
調停の有利な進め方と注意点
遺産分割調停を進める際には、以下のポイントに注意することが重要です。
調停委員の言動に焦る必要はありません
調停委員は、あくまでも中立的な立場で調停を進行する役目があります。
しかし、調停委員も人であり、感情や相性もあるため、言動やアプローチによっては片寄った意見を持つこともあります。とはいえ、調停委員の言動に焦る必要はありません。
自身の主張や訴えを適切に伝え、公平な判断を期待することが重要です。マイナス要素となってしまうのは、冷静さを失い、感情的・暴力的な発言をしてしまうことです。
自分の主張は事前に組み立てておく
調停の際、自身の主張については事前に整理しておくことが大切です。
分割の希望や理由、相続人同士や被相続人との関係性などを明確に説明し、調停委員が理解しやすいように話すことが大切です。箇条書きでも良いので、あらかじめメモなどを用意しておくことで、自身の主張を明確に伝える準備をしておくのが良いでしょう。
相手の言い分を聞く姿勢を見せる
遺産分割調停では、自身の主張だけをしていると円滑な進行の妨げになることがあります。自身の言い分だけでなく、他の相続人の言い分を聞く姿勢を見せ、時には譲歩することが円滑な話し合いに繋がります。
また、こうした姿勢は、調停委員を味方につけるきっかけにもなります。調停委員が味方となれば、他の相続人を説得してくれることもあり、調停を有利に進められる場合があります。
事前に経験豊富な弁護士に相談しておく
遺産分割に関する法的知識については、調停前に得ておくのが理想的です。調停の前に経験豊富な弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けておくのが良いでしょう。
また、弁護士からのアドバイスがきっかけとなり、調停申し立て前に話し合いが進展するといったケースもめずらしくはありません。調停を申し立てずに遺産分割問題が解決するのであれば、時間を大幅に節約できるといっても過言ではありません。それだけ経験豊富な弁護士からのアドバイスは有用なものとなっています。
遺産分割調停の申し立ては弁護士にご相談ください
遺産分割調停の申し立てを検討されている方は、まずは弁護士に相談してみましょう。
場合によっては調停を申し立てずとも、遺産分割問題が解決することもあります。
また、弁護士であれば話し合いに直接介入することも可能ですし、調停に同席し、自身の代わりに発言してもらうことも可能です。遺産分割を有利に進める上で、弁護士の介入は非常に有効となっています。
もし、遺産分割調停でお困りの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
遺産分割・遺留分など紛争にかかる費用
着手金
交渉 27万5,000円〜
調停 38万5,000円〜
審判・訴訟 49万5,000円〜
報酬金
27万5,000円+経済的利益(回収金額とする)の11%
※上記を原則としながらも、事案によって増減させていただきます。