遺産分割審判って?調停がまとまらなかったときの相続を解決するには

遺産分割協議が何らかの理由で決裂し、さらに調停でも話し合いがまとまらなかった場合は遺産分割審判へと進むことが一般的です。

今回は遺産分割審判について解説すると共に、調停との違いや審判の流れについて説明いたします。

遺産分割審判とは?

遺産分割審判とは、遺産分割について相続人同士で話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所が最終的な判断を下す手続きのことです。

調停での解決ができない場合に審判に移行するのが一般的で、裁判所が法律に基づいて遺産分割について決定します。

調停と審判の違いとは

当事者同士の話し合いではなく、裁判所が判断する

遺産分割調停は、相続人同士が話し合って遺産分割方法を決定する手続きです。

そのため、いずれかの相続人が1人でも納得できなければ調停は成立しません。納得できない結論を調停で無理やり押しつけられることはないのです。

一方、遺産分割審判は、話し合いの手続きではありません。相続人が自分の主張をまとめて書面で提出し、それを基に裁判所が判断します。裁判所はその主張を基にして、妥当と思われる遺産分割の方法を審判で決定します。

この場合、相続人が納得しているかどうかは関係ありません。

調停委員は審判には関わらない

調停では、調停委員が当事者間の意見を調整しますが、審判に移行すると調停委員は関与しません。

審判では、裁判所が判断を下し、法的な解決を目指します。

法的な強制力がある

審判の結果として発行される審判書と確定証明書は、法的な強制力を持ちます。これに基づいて強制執行が可能です。

たとえば、審判に基づいて相続財産の分割が決定された場合、その決定に従わない相続人に対して、法的手続きを通じて財産の引き渡しや売却を強制することができます。

遺産分割審判はどのように進んでいくのか

(1)基本的には、調停が不成立になると審判に移行する

遺産分割調停が不成立に終わった場合、自動的に遺産分割審判の手続きに移行し、遺産分割調停申立ての時点で遺産分割審判の申立てがなされていたものと扱われます(家事事件手続法272条4項)。

そのため、遺産分割調停と審判は実質的にはセットのようなものであるとも考えられます。

(2)月に1度程度の「審判期日」が開かれる

審判手続きでは、通常月に一度程度の「審判期日」が開かれます。

この期日に相続人や代理人が出席し、裁判官が双方の主張や証拠を確認します。

(3)裁判所が審判を下す

審判期日を経て、裁判所は全ての証拠や主張を考慮し、最終的な審判を下します。

裁判官は、法律に基づいて公正に遺産分割の方法を決定します。

(4)審判の内容に沿って相続をする

審判が下された後、どの相続人も即時抗告(※)をしなかった場合は、その審判の内容に基づいて遺産分割を進めます。

審判書に記載された指示に従い、相続人は遺産を分割します。審判書に従わない相続人がいる場合は、法的手続きによって強制執行が行われます。

即時抗告とは

即時抗告は審判の通知を受け取った日から2週間以内に行う必要があります。この手続きを通じて、審判内容の再検討を求めることができます。

しかし即時抗告で主張が認められるには法的な根拠が必要で、原審で不合理な主張をしているなら即時抗告をしても同じ結果となるでしょう。

個人での即時抗告は非常に難しいので、即時抗告を検討している場合は弁護士など法律の専門家に相談してみることをおすすめいたします。

遺産分割審判について知っておくべきこと

遺産分割審判のおおよその所要期間

審判が始まってから確定するまでの期間は、だいたい3~8カ月程度かかることが多いです。

ただし審判になるまでの期間も相当かかっているはずなので、審判になると遺産相続トラブルは長期化するでしょう。

遺産分割協議、調停、審判と進んできた場合、相続開始後3年から長ければ5年経過するケースも少なくありません。

遺産分割審判を弁護士に相談するべき理由

審判期日に代理で出席してもらえる

弁護士を依頼することで、審判期日に代理で出席してもらうことができます。これにより、ご相談者様が直接出席する必要がなくなり、手続きの負担を軽減できます。

例えば、仕事や家庭の事情で忙しく、裁判所に出向くことが難しい場合でも、弁護士が代理で出席することで、適切な手続きを進めることができます。また、裁判所の手続きや法的な議論に不慣れな方でも、弁護士が対応することで安心して手続きを進められます。

相談者の有利になるように法的な主張をしてもらえる

弁護士は法律の専門知識を活かして、ご相談者様の利益を最大限に守るための主張を行います。法的に有利な立場を確保するための戦略を立て、適切な主張を展開します。

例えば、遺産の評価や分割方法に関する争点がある場合、弁護士は法的な根拠をもとに、ご相談者様に有利な主張を展開します。さらに、証拠の収集や証人の手配など、裁判を有利に進めるための具体的な対策を講じることができます。これにより、裁判所に対して説得力のある主張を行うことが可能となり、最終的にご相談者様にとって有利な判決を得る可能性が高まります。

相手側だけに弁護士がつくと一方的な展開になることも

相手側だけが弁護士を依頼している場合、ご相談者様にとって不利な展開になる可能性があります。

こちら側も弁護士のサポートを受けることで、相談者様により有利な形での解決となる可能性が高まります。

遺産分割にお困りの方は弁護士にご相談を

遺産分割のトラブルや審判手続きについてお困りの方は、ぜひ西村綜合法律事務所へご相談ください。

当事務所では、遺産分割に関する豊富な経験を持つ弁護士が、ご相談者様の問題解決をサポートいたします。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。オンライン面談も可能ですので、遠方の方やご多忙の方もご利用いただけます。




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    岡山での相続は都内・関東でも進めることができます

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    この記事の監修者

    監修者:西村啓聡

    弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士

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    注力分野

    岡山エリアでの相続分野(遺産分割・遺留分侵害額請求など多数の相談実績)

    経歴

    東京都内の法律事務所での勤務を経て、岡山県に弁護士法人西村綜合法律事務所を創立。県内を中心に年間約80件の相談を受けており、岡山エリアの相続に強い弁護士として活動。地域に根ざし皆様の拠り所となれるような法律事務所を目指している。