相続で騙された!遺産分割で詐欺等があった際の協議やり直しについて弁護士が解説

相続は、故人の意志に基づき財産を公正に分配する大切な手続きです。

しかし、遺産分割の際に起こり得る嘘や勘違い(法的には錯誤や詐欺と呼びます)は、相続人の権利を侵害し、深刻な問題を引き起こす可能性があります。

この記事では、遺産分割協議での錯誤や詐欺が発覚した際の対処法や、遺産隠しのケースとその調査方法について詳しく解説します。

遺産分割協議で錯誤・詐欺があったら・・・

錯誤や詐欺があれば取り消せる可能性があります

遺産分割協議が作成されているということは、相続人全員が合意し署名・押印をしているということです。そのため、あとからやり直すことは原則不可能です。

しかし、その遺産分割協議に錯誤や詐欺があったことが判明した場合、遺産分割への意思表示を取り消すことが可能になります。

意思表示が取り消されれば、「相続人全員での合意」自体がなかったことになりますので遺産分割協議をやり直すことになるのです。

遺産分割協議における錯誤とは

錯誤とは、誤った情報に基づいて遺産分割協議が行われた場合を指します。

例えば、遺産の価値を過大または過小に認識していたり、存在しない負債があると誤解していたりする場合がこれに該当することがあります。

遺産分割協議における詐欺とは

詐欺は、故意に虚偽の情報を提供して遺産分割協議に影響を与える行為です。

例えば、故意に遺産隠しを行う、負債があると偽る、または遺産の価値に関する誤った情報を伝える行為などが含まれることがあります。

まずは弁護士への無料相談を

錯誤や詐欺が疑われる場合、法律の専門家である弁護士への相談が不可欠です。

弁護士は具体的な状況をお聞きした上で法的な主張を組み立てるが可能です。遺産分割協議に疑問や不安がある場合は、まずは弁護士へのご相談をお勧めいたします。

遺産隠しのよくあるケースと対処法

被相続人(亡くなった人)と同居していた家族などの近しい人物が銀行預金等の遺産の存在を隠すといったケースもあります。

遺産隠しがあった場合、追加の遺産分割等の対応が必要になることがあります。

遺産隠しの可能性があるケース

判明している遺産と故人の話が違う

前述の預金隠しのように、故人が生前に話していた財産の内容と、実際に判明している遺産が異なる場合、遺産隠しの可能性があるでしょう。

ただし、故人が生前に自身の財産を譲渡することは可能です。たとえば不動産であれば、登記を取得して不動産の所有権がどのように移転したのかを確認することが大切です。

他の相続人が預金を勝手に引き出している

他の相続人が故人の預金口座から無断で資金を引き出している場合も、本来あるはずだった財産を目減りさせて自身の懐に仕舞い込んでいる訳ですから、これも遺産隠しの一種と考えられます。

故人の預貯金が、故人の意思と関係なく、勝手に使い込まれているような場合には、一部の返還を求めることもあり得ます。遺産の使い込みについてはこちらのページで詳しく解説しておりますので一緒にご覧ください。

遺産の詳細が明らかにしてもらえない

遺産分割において、ある相続人が遺産の詳細を頑なに明らかにしない場合は、遺産隠しが行われている可能性があります。

例えば、故人が複数の不動産や車などを所有していたにもかかわらず、相続人の一人がその詳細なリストや価値に関する情報を提供しないケースがこれに該当します。

また、故人が大きな預金口座や貴重なコレクションを持っていたことが知られているにも関わらず、その存在について話を避ける、またはその価値を過小に申告するような状況も、遺産隠しの疑いがあると考えられます。

 

遺産隠しを調査するには

相続人に直接確認する

遺産隠しを疑う場合、まず他の相続人に直接確認することが有効な手段です。

故意の遺産隠しであればそう簡単には答えてもらえないですが、まずは直接聞いてみましょう。

故人の自宅を確認する

自宅に、金融機関や証券会社からのレター・貸金庫に関する書面等が残っている場合があります。

このため、故人の遺品を整理し確認してみることも考えられます。

不動産や預貯金を調査する

遺産に不動産や預貯金が含まれている場合、公的な記録や資料を通じて調査することができます。

しかし、実際には一般の方がこれらの書類を集めて客観的な判断を下すことは非常に難しいと言えます。

たとえば、故人が所有していた不動産に関しては、登記簿謄本や固定資産税評価証明書を入手する必要がありますが、これらの書類は専門的な知識がなければ解読できません。また、故人の預貯金についても、銀行や金融機関から取引記録を取得するための複雑な手続きを踏まなければなりません。

弁護士に相続財産調査を依頼する

調査については、資産の種類に関わらず法的な知見がないと、重要な情報を見落としたり、誤解したりするリスクがありますので、実際に調査をするとなった際には相続の経験豊富な弁護士への相談をお勧めいたします。

当事務所では、ご依頼者様のご事情に合わせて、相続人調査と相続財産調査を分けて承ることができます。これにより、費用の削減につながるメリットがあります。また、相続人・財産ともに全くわからないという方や、煩雑な手続きや他の相続人との連絡を手放したいという方は”相続人調査・財産調査お任せプラン”が大変おすすめです

 

 

遺産分割協議をやり直す場合の流れ

遺産分割協議の取り消しを意思表示する

遺産分割協議に疑問がある場合には、他の共同相続人と今一度話し合いの機会を持つことが考えられます。

場合によっては、内容証明郵便を活用することもあり得ます。

内容証明郵便とは、送付した文書の内容と送付日時が郵便局によって証明されるものです。相続人が遺産分割協議の取り消しを求める意思を正式に記録し、他の相続人に通知することができるので、今後の法的手続きでも役立つことがあります。

取り消しの訴訟を起こす

他の相続人がこのやり直しに同意しない場合、裁判所で「遺産分割協議無効確認訴訟」という訴えを起こす必要があります。

訴訟になると、遺産分割に関する議事録やメール交換などが重要な証拠になるので、大切に保管しておくことが大切です。

訴訟によって遺産分割のやり直しを求める際には、さまざまな観点から判断する必要があるため、弁護士への依頼をぜひご検討ください。

遺産分割協議をやり直す際の注意点

遺産分割協議のやり直しを進める際には、いくつかの注意点があります。

贈与税や不動産取得税がかかるかもしれません

遺産を相続したら、相続税の申告と支払いが必要です。

相続人全員が同意して遺産分割協議をやり直す場合、まずは最初の分割協議に基づいて相続税が発生します。

その後、協議をやり直し新しい合意に達すると、その内容に応じて「財産のやり取り」があったと見なされ、もう一度税金がかかる場合があります。

つまり、遺産分割協議をやり直すと、結果的に2回税金がかかる可能性があるということです。

付随する手続き・申告の期限は延長されません

遺産分割協議自体には、特に期限は設けられていませんが、遺産相続に関する手続きでは、いくつかの期限があります。

例えば、相続放棄をする場合は、相続が始まってから3ヶ月以内に行う必要があります。また、相続税の申告は、相続が発生してから10ヶ月以内に行わなければなりません。

遺産分割協議が無効または取り消しになった場合でも、これらの期限は延長されませんので、特に注意が必要です。

錯誤・詐欺には時効があります

意思表示の取消は、追認をすることができるときから5年間行使しない時には、時効により消滅します。また、行為の時(遺産分割時)から20年を経過したときも同様です(民法126条)。

これらの期限を過ぎると、遺産分割協議のやり直しは不可能になるため、早めに行動することが大切です。

遺産分割で騙されてしまった場合は急いで弁護士に相談を!

遺産分割において錯誤や詐欺が疑われる場合、専門家である弁護士に相談することが最善策です。

当事務所では、遺産分割に関するトラブルを専門知識をもって解決し、ご相談者様の利益を最優先に考慮して対応いたします。

初回相談は無料で行っており、オンライン面談も可能ですので、遠方の方や忙しい方でもお気軽にご相談いただけます。地元岡山に密着した西村綜合法律事務所へお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

監修者:西村啓聡

弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士

西村写真

注力分野

岡山エリアでの相続分野(遺産分割・遺留分侵害額請求など多数の相談実績)

経歴

東京都内の法律事務所での勤務を経て、岡山県に弁護士法人西村綜合法律事務所を創立。県内を中心に年間約80件の相談を受けており、岡山エリアの相続に強い弁護士として活動。地域に根ざし皆様の拠り所となれるような法律事務所を目指している。