遺産相続後に新たな相続人が発覚したり、遺言が後から出てきたら?やり直しや対策について解説
遺産分割後に遺言書や新たな相続人が見つかった場合、どのように対応すべきなのでしょうか?
一見すると、すでに終えた遺産分割には影響を及ぼさないようにも感じられますが、実際はそうではありません。
遺言書の内容によっては遺産分割をやり直さなければなりませんし、新たな相続人に対しても必要な対応を取らねばなりません。
そこで今回は、遺産分割後に遺言書や新たな相続人が見つかった場合の対応について、弁護士が詳しく解説していきます。
目次
遺産分割後に新たな相続人が判明した場合の対応
遺産分割後に新たな相続人が判明した場合、遺産分割はやり直さなければなりません。
遺産分割というのは、相続人全員の合意があってはじめて有効となります。遺産分割に参加していない相続人が1人でもいることがわかれば、一度合意のあった遺産分割でもはじめから有効ではなかったことになります。
よって、新たな相続人が見つかった場合は、従前の遺産分割内容はすべて破棄し、あらためて遺産分割をやり直さなければなりません。
遺産分割後に新たな相続人が判明する場合とは
では、どういった場合に遺産分割後に新たな相続人が判明するのでしょうか?
具体的には、以下の3つの場合に新たな相続人が判明します。
(1)相続人調査を行わなかった場合
遺産分割を調停や審判で終えている場合は、裁判所に相続関係がわかるだけの戸籍謄本を提出しなければならないため、新たな相続人が判明するケースは稀です。
しかし、協議だけで遺産分割を終えていた場合、戸籍謄本などを取得し、相続人を確定する作業を省いているケースも多く、後になって新たな相続人が判明する場合があります。
この場合、新たな相続人を交えた上で、遺産分割協議をやり直さなければなりません。
相続人や相続財産を曖昧にしたまま相続を進めると、トラブルの原因となることが多いです。
そのため、被相続人が亡くなる前の段階で相続人および相続財産を明確にしておくことで、後のトラブルを予防することが可能です。
西村綜合法律事務所では、調査だけではなく今後の相続の進め方や、遺産分割協議などを弁護士に依頼するべきかどうか等の最適なプランについて「ご相談者様が損しないように」という観点でアドバイスさせていただきます。
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(2)胎児がいる場合
被相続人が亡くなる際に胎児認知された子どもがいて、その子どもが産まれる前に遺産分割がすでにされていたといった場合、産まれてきた子どもが新たな相続人となります。
民法では、胎児はすでに産まれたものとみなし、胎児であっても相続権があるとしています。一方で、判例上は出生前の胎児を代理して遺産分割することを認めていません。よって、相続権を持っている胎児がいる場合、本来は遺産分割を保留しておかねばならないのです。
なお、胎児が生きて産まれてこなかった場合は、相続権の保障はなくなり、すでにされていた遺産分割の内容がそのまま有効となります。
(3)死後認知がなされた場合
死後認知がなされた場合、すでに終えている遺産分割に影響を及ぼすことはありませんが、認知された子どもには遺産の取得権が発生します。よって、相続人らは死後認知された相続人に対して、相続分に相当する金額を支払わなければなりません。
なお、被相続人が亡くなった後に認知されるケースとは、遺言書による認知と、認知の訴えが認められた場合です。
遺産分割後に遺言書が見つかった場合の対応
遺産分割後に遺言書が見つかった場合、原則としては遺言書の内容が優先されます。
遺言書というのは、亡くなった方の最後の意思表示であるため、もっとも尊重されなければなりません。そして、遺言書の効力は亡くなった方の死亡した時から発生し、どれだけ時間が経っても無効になることはありません。
よって、遺言書が見つかったのがどういったタイミングであったとしても、遺言書の内容どおりに分割しなければならないのです。では、すでに終えている遺産分割までやり直さなければならないのでしょうか?
以下では、やり直す必要がない場合と、やり直す必要がある場合について詳しく解説してきます。
遺産分割をやり直す必要がない場合
後から遺言書が見つかっても遺産分割をやり直す必要がないのは、相続人全員が遺言の内容を知った上で、従来の遺産分割の内容のままでいいと合意した場合です。
ただし、1人でも反対した場合は、遺言書の内容どおりにするか、もう一度遺産分割協議をやり直さなければなりません。
もし、遺言書が見つかった場合は、相続人全員に知らせた上で、内容が全員で確認できるように遺言の検認手続きを行いましょう。
検認とは
検認とは、相続人に遺言の存在と内容を知らせ、検認時点での遺言書の形状や状態、日付や署名などを明確にし、変造や偽造を防止するための手続きです。
なお、見つかった遺言書が、公正証書遺言だった場合や、法務局において保管されている自筆証書遺言だった場合は、検認手続きを経る必要はありません。
遺産分割をやり直す必要がある場合
遺言書の内容に以下の3点が含まれていた場合は、やり直す必要がないという相続人全員の合意があったとしても、遺産分割をやり直さなければなりません。
①遺言執行者の選任
遺言書に遺言執行者選任の記載がある場合、遺言執行者を交えた上で、遺産分割をやり直さなければなりません。
②第三者への遺贈
遺言書に相続人以外への第三者への遺贈が記載されていた場合、受遺者(遺贈を受けた者のこと)を含め、遺産分割をやり直さなければなりません。
③相続人廃除
遺言書にて、相続人の廃除が記載されていた場合、廃除された相続人を抜いた上で、遺産分割をやり直さなければなりません。
遺産分割後に遺言書や新たな相続人が見つかった場合は弁護士にご相談ください
遺産分割後に遺言書や新たな相続人が見つかった場合、どうしてもパニックなってしまうものです。
特に、協議に時間や手間をかけて、相続人同士のトラブルを回避しながら、ようやく終えた遺産分割であるなら尚更です。そんな中、遺産分割のやり直しとなれば、遺言書や新たな相続人への対応は、大きな精神的苦痛となってのしかかってきます。
そこで、もし遺産分割後のトラブルにお悩みであれば、弁護士への相談をおすすめします。
弁護士であれば、あなたの代わりに遺言書や新たな相続人への対応を任せることができます。当事務所では、遺産分割後のトラブルに精通した弁護士が待機しております。加えて、西村綜合法律事務所では岡山県の皆様に寄り添って解決したいという思いから、相続に関するご相談は無料とさせていただいております。ご多忙の方、遠方の方向けにWeb (オンライン)面談も実施中です。ぜひお気軽にご相談ください。