譲渡制限付株式(RS)の相続について解説!ありがちなトラブルと実務対応【弁護士監修】
譲渡制限付株式(RS)とは何か、相続時にどのような問題が起こるのか、会社や他の相続人との間で生じやすいトラブルの具体例、そして譲渡制限付株式(RS)を円滑に承継するための手続きの流れについて解説します。
中小企業のオーナー経営者の方や、株式を相続されたご家族の方にとって、遺産分割や相続の落とし穴を防ぐためにぜひご覧ください。
目次
譲渡制限付株式(RS)の相続は何が違う?
譲渡制限付株式(RS)とはどういうものか
譲渡制限付株式(RS)とは、株式会社の定款により、株式の譲渡(他人に売ったり贈与したりすること)に制限が設けられている株式のことです。
多くの中小企業で採用されており、会社の許可がなければ株主が自由に株式を手放すことができない仕組みになっています。これは、会社の経営に関与する人間を限定し、事業の安定を図るために設けられるものです。
譲渡制限が付いているかはさておき株式の相続全般についてはこちらのページで詳しく解説しておりますのでぜひご覧ください。
譲渡制限付株式(RS)も相続の対象になります
たとえ譲渡制限が付いていても、相続は譲渡とは異なるため、相続人は法的に株式を承継することができます。
つまり、会社の許可がなくても、原則として株式は相続人に自動的に引き継がれます。ただし、名義変更や承認といった手続きは別途必要となり、定款の内容によってはその後の対応に違いが出るため注意が必要です。
会社が相続による取得を拒否できる場合もあります
相続による取得自体は否定されませんが、会社がその株主変更を認めたくない場合、定款の内容によっては「買い取り請求権」を行使して、相続人から株式を買い取ることが可能です。
この制度により、会社が望まない人物が株主になるのを防げます。相続人にとっては、株式を持ち続けることができないケースもあるため、定款の事前確認が重要です。
譲渡制限付株式(RS)の相続で起こりやすいトラブルと実務対応
(1)会社が相続人を株主として認めないケース
定款に「取締役会の承認を要する」と定められている場合
定款に「株式取得について取締役会の承認を必要とする」との規定がある場合、相続人が株主となるには取締役会の承認が求められることがあります。この承認が得られなければ、相続人が株主としての権利を行使できない可能性があります。
会社が「買取り請求権」を行使してくる場合
取締役会が承認しないと決定した際、会社が相続人からその株式を買い取る手続きを進めることができます。買い取り価格や支払い条件が争点になることも多く、交渉には専門知識が求められます。
(2)他の相続人との間で評価額や処分方法が揉めるケース
非上場株式で評価が困難な場合に多い
非上場株式は市場価格が存在しないため、株価の算定方法(純資産方式や類似業種比準方式など)で相続人間の意見が分かれることがあります。
株式を保有したい相続人と換価希望の相続人が対立する
一方は経営継続のために株式を持ち続けたい、他方は換金して現金を受け取りたいという相反する意見が衝突しやすいです。弁護士の調整が必要になる場面です。
(3)相続放棄や遺留分との絡みで複雑化するケース
株式が遺産の大部分を占めている場合、遺留分との調整が非常に難しくなります。株式を承継した相続人が代償金を支払う必要が生じるなど、専門的な対応が不可欠です。
事業承継においては、被相続人が自社株を多く保有しているケースが多く、遺産の大半が株式という状況がよくあります。この場合、分割方法や納税資金の確保が課題となります。
譲渡制限付株式(RS)を相続するにはどんな手続きが必要?
まずは定款の内容と株主名簿を確認する
会社に連絡し、定款にどのような譲渡制限が設けられているのかを確認することが第一歩です。また、株主名簿に被相続人が株主として記載されているかもチェックが必要です。
相続人が株主となるための承認手続き
会社が定める承認手続きの申請
会社によっては所定の申請書や書類提出が必要です。期限も設けられている場合があるため、速やかな対応が求められます。
会社が拒否した場合の買取請求制度の活用
承認が得られなかった場合でも、会社が株式を買い取る制度があります。その際は公正な価格での買取交渉を行うことになります。
名義変更と法務局への登記手続き(必要な場合)
株式自体の名義変更は会社内の株主名簿で行いますが、会社が登記会社である場合は法務局での登記も必要です。実務的には会社の指示に従って進めることになります。
相続税の申告・納税手続きも忘れずに
株式の評価額に応じた相続税が課されます。非上場株式は評価額の算出に時間がかかるため、早めの対応が重要です。場合によっては、納税資金の工面のために株式を換価する必要が出てきます。
譲渡制限付株式(RS)の相続を弁護士に相談するメリット
定款確認から承認交渉、株式評価まで一括サポート
弁護士であれば、定款の条項や商法に基づいたアドバイスを行い、会社との交渉や申請書類の作成もサポートできます。また、株式評価の専門家(税理士など)と連携して総合的に対応します。
相続人同士や会社との交渉も代理で行えます
相続人間で意見が対立するケースや、会社とのやりとりで感情的になってしまう場合も、弁護士が代理人として調整することでスムーズな解決が図れます。
不動産の相続や遺産分割協議への法的助言も可能
弁護士は税理士や司法書士と連携し、相続税申告や不動産登記といった他分野の専門家との橋渡しも担います。また、遺産分割協議書の作成や内容の妥当性のチェックも任せることができます。
譲渡制限付株式(RS)の相続でお悩みの方は西村綜合法律事務所へご相談ください
譲渡制限付株式(RS)の相続は、定款内容や相続人の意向、会社のスタンスなどが複雑に絡み合うため、慎重かつ的確な対応が必要です。
西村綜合法律事務所では、岡山を拠点に、企業オーナー様やご家族の相続を多数取り扱ってきた経験豊富な弁護士が在籍しております。初回相談は無料、オンライン面談にも対応していますので、岡山県内はもちろん、遠方の方もお気軽にご相談ください。