遺産争族とは?相続や遺産分割のトラブルと対処法について解説

遺産争族とは?

「争族」、これは馴染みのない言葉かもしれません。これは、残された財産をめぐって起こる家族間の争いを指しています。

遺産相続は、想像していなかった大きな財産が転がり込む数少ない機会であり、遺産を家族で分け合うことから、いわゆる骨肉の争いが発生することは珍しくありません。

一見、関係が良好であったとしても、ちょっとした感情の行き違いから、過去の恨みつらみが顕在化し、当事者同士で話し合いもできなくなるケース、前妻の子と後妻や後妻の子が深刻な感情的対立を抱えているケース、相続人の中に行方不明者がいるケースと、問題となりそうな場合はいくらでも挙げることができます。

また、遺産はプラスのものだけとは限りません。莫大な借金が残される場合もあり、相続放棄をした影響が他の相続人に波及していくといったケースもあります。 それでは、具体的に遺産をめぐる争いにはどんなことが起こるのか、また、争いを予防するにはどうすればよいかについて、以下、ご説明します。

争族(相続トラブル)になりやすいケース

特定の相続人が介護等をおこなっていた

介護を担当していた家族が他の相続人と対立するケースは非常に多いです。介護を担当した方は、その労力と時間、そして精神的な負担を考慮に入れて、ご相談者様にとって有利な遺産分配を望むのは自然なことです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、遺産分配は法律で定められており、介護の負担と直接関連付けて分配することは難しい場合が多いのです。これには、他の相続人も同じように負担を感じていたり、介護の内容や期間について意見が分かれることなどがあります。

特定の相続人が資金援助を受けていた

資金援助を受けた相続人と他の相続人との間にも、しばしば対立が生まれます。これは、資金援助の額やその必要性、援助を行った背景など、多くの要因によって複雑になるためです。

対立を解消し、円滑な遺産分配を行うためには、資金援助の詳細を明確にし、それを遺産分配にどのように反映させるかを明確にする必要があります。これには、適切な証拠の保全と、すべての相続人の合意形成がポイントです。

一部の相続人が疎遠であった

家族が疎遠である場合、争族のリスクはさらに高まります。情報の非対称性、信頼の欠如、過去のわだかまりなど、多くの問題が絡み合って、複雑な争いを引き起こすことがあります。

こうしたケースでは、第三者の介入が有効です。特に、遺産分配について専門的な知識と経験を持つ弁護士が入ることで相談者様にとって有利な解決が期待できます。

財産が自宅(不動産)のみに近い状況

財産が自宅や不動産に偏っている場合、その分配が一筋縄ではいかないことが多いです。不動産は流動性が低く、すぐに現金化できません。また、価値の評価が主観に左右されやすく、相続人間で意見が割れることも少なくありません。

被相続人が離婚・再婚していた

被相続人が離婚・再婚をしている場合、新しい家族や前の配偶者との間に生じた子どもたちとの関係が複雑になり、争族の原因となることがあります。感情や人間関係の問題も絡み合い、解決が難しくなることが多いです。

争族(相続トラブル)を防ぐには?

相続問題は多様で複雑です。特に争族が発生すると、家族関係が壊れてしまうだけでなく、精神的、時間的、経済的な負担が増大します。そのため、争族を防ぐ手段として、以下の手段をおすすめします。

法的に有効な遺言書を残す

相続トラブルは、多くの場合、遺産の分配に関する不明確さや不満から生じます。

これを防ぐためにも、事前に適切な遺言書を残すことが非常に効果的です。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、ご自身で手書きで記述する方法です。日付とご自身の署名、捺印を必ず記載し、内容を明確にする必要があります。この方法は一見手軽ですが、様式が厳格に決まっていますので、押印や日付の抜け漏れなどがないかなどを確認する必要があります。また、内容の正確さや遺言書の保管、発見の確実性を確保するためには工夫が必要です。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で遺言者と立会人2名が立ち会う中で作成します。公証人が遺言の内容を整理・確認するため、法的な問題が起きにくいというメリットがあります。また、作成された遺言書は公証役場で保管され、相続時に速やかに効力を発揮します。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、内容を他人に知られずに遺言を残せる方法です。遺言書は特定の封筒や容器に密封され、遺言者の指示に基づいて開封・実行されます。ただし、管理の厳格さと、開封の際の手続きの正確さが求められます。

どんな遺言が最適になるか弁護士へ相談しましょう

遺言書の種類や内容は、ご相談者様の資産、家族構成、意向などによって異なります。西村綜合法律事務所では、ご相談者様一人ひとりの状況に合わせた、最適な遺言書の作成をサポートいたします。

公正な生前贈与

生前贈与は、「争族」を防ぐもう一つの方法です。これにより、相続人間の納得を得やすくなり、後のトラブルを防ぐことができます。ただし、贈与税や相続税の問題、法定相続分の保護など、複雑な法律問題を解決する必要があります。

事前に不動産の処分したり、他の資産にしておく

相続トラブルを未然に防ぐ方法の一つとして、不動産の処分や他の資産への変換があります。特に不動産は価値の評価が難しく、また処分にも時間がかかるため、相続発生時には相続人間でのトラブルの元になりやすいです。

事前に不動産を処分したり、他の資産に変換しておくことで、相続発生時の負担を軽減でき、相続人間の対立を防ぐことができます。これには、不動産の適切な価値評価、販売方法の選定、税金の問題など、様々な側面からの検討が必要です。

相続トラブルにお困りの方は西村綜合法律事務所へ

相続トラブルは、法律の専門知識だけでなく、人間関係や感情の問題も深く関わっています。西村綜合法律事務所は、地元岡山で多数の相続トラブルを解決してきた実績があります。法律の専門知識はもちろん、ご相談者様の感情に寄り添い、一人ひとりに合った解決策をご提案します。

初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。オンライン面談も可能ですので、遠方の方でも安心してご相談いただけます。経験豊富な弁護士が、迅速かつ丁寧に対応いたします。

お悩みを抱えず、まずは一度お話ししませんか?西村綜合法律事務所が、ご相談者様の権利をしっかりと守り、安心して未来を見据えられるようサポートいたします。

 

 

この記事の監修者

監修者:西村啓聡

弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士

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注力分野

岡山エリアでの相続分野(遺産分割・遺留分侵害額請求など多数の相談実績)

経歴

東京都内の法律事務所での勤務を経て、岡山県に弁護士法人西村綜合法律事務所を創立。県内を中心に年間約80件の相談を受けており、岡山エリアの相続に強い弁護士として活動。地域に根ざし皆様の拠り所となれるような法律事務所を目指している。