遺産分割の禁止って?相続を延期するべきケースやメリットについて徹底解説

相続が始まった直後に急いで遺産を分けると、想定外のトラブルや家族間での対立に繋がりかねません。

そういったリスクを想定し「遺産分割の禁止」という手続きを利用して、一時的に遺産分割をストップすることが可能です。

この記事では、遺産分割を禁止する主なケースや注意点について解説いたします。遺産分割におけるトラブルや紛争を避けるためにもぜひご覧ください。

遺産分割の禁止って?

一定の期間、遺産分割を禁止できる

法律では、相続人間の合意や遺言によって、遺産分割を一定期間禁止することが認められています。

これは、下記のような特定の状況下で相続人の利益を守るために設けられる措置です。

遺産分割を禁止するケースの例

感情的な対立を避けるために冷却期間を設けたい

遺産分割に関わる感情的な対立や紛争を避けるため、相続人間で一時的に分割を行わない冷却期間を設けることがあります。

例えば、相続人間の意見の不一致が激しい場合、冷静な判断を促すために一定期間、遺産分割を禁止することが有効です。

相続人や相続財産を入念に調査する必要がある

相続人の特定や相続財産の詳細な調査に時間を要する場合、遺産分割の禁止期間を設定することがあります。

遺産分割協議や調停を進める前に、まずは相続人と相続財産の確定が必要です。

相続人と相続財産が確定して初めて、適切な遺産分割をスタートすることが可能になります。しかし相続人調査・相続財産調査は大変な労力と時間を要求されるものとなっており、いずれも個人で行うことが難しく、弁護士へ一任することが望ましいでしょう。

当事務所では相続人調査と相続財産調査を個別に承ることも可能ですが、合わせてご依頼いただける相続人調査・財産調査お任せプラン便利です。詳しくは下記のページをご覧ください。

相続人の中に未成年がいる

相続人の中に未成年者がいる場合、その未成年者の利益を守るために遺産分割を一定期間禁止することがあります。

  • 未成年者と親権者が共に相続人であるとき、相続においては両者は利益が相反している関係にあるため、親権者は未成年者のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。
  • しかし、ただでさえ大変な遺産分割協議にこの手続きが加わることは非常に面倒であり、また、特別代理人を交えた協議が円滑に進むとも限りません。

そのため、あと数年ないし数ヶ月でその未成年が成人になる場合は、遺産分割を禁止することでその未成年者が成人になるまで待ち、特別代理人の選任を避けるという対処をとることがあります。

遺産分割を一定期間禁止にするにはどうすればいい?

遺産分割を禁止する方法は、主に3つあります。

遺言に記載する

故人が生前に遺言書を作成する際、一定の期間遺産分割を禁止する旨を明記することができます。これにより、故人の意思に基づいて遺産分割が一定期間禁止されます。

この禁止期間は民法により相続開始から最長で5年となっています。

相続人全員で合意する

加えて、相続人全員が合意すれば、最長5年の範囲内で遺産分割を一定期間禁止することが可能です。

相続人全員の合意があれば「相続開始から5年以内」である必要はなく、相続開始から数年後でも禁止とすることが認められます。しかし、相続開始から10年を超えて禁止することはできません。

家庭裁判所から禁止の判断を得る

共同相続人は、遺産分割協議がうまくいかない場合や、そもそも協議を行うことができない時、家庭裁判所に遺産分割を申し立てることができます。

家庭裁判所が、遺産をすぐに分けるべきではない特別な事由があると認めれば、一定の期間を定めて遺産分割を禁止することができます。

特別な理由とは、例えば相続人が誰かわからない場合や遺産の範囲について争いがある場合、すぐに分けるのが適切でない場合や、分割しない方が全ての相続人にとって良いと裁判所が判断する場合などです。

このように、相続財産および相続人が確定していない状態で遺産分割協議をスタートすると、思わぬ足止めを食らってしまったり、予期せぬ対立・紛争に繋がりかねません。アクシデントを防ぐためにも相続調査を弁護士に依頼し、遺産分割に備えておくことをお勧めいたします。

遺産分割の禁止における注意点

遺産分割を禁止する場合、いくつかの注意点があります。

遺産の一部だけを禁止の対象にすることが可能です

遺産分割の禁止は、相続財産全体に適用する必要はなく、一部の財産に限定して行うことが可能です。

例えば、不動産のみを対象にして、現金や株式などその他の財産の分割は通常通り行うことができます。

相続税の申告期限は延長されない

遺産分割を禁止することと、相続税の申告期限は別問題です。遺産分割の禁止があっても、相続税の申告期限は延長されません。したがって、税務上の手続きは適時に行う必要があります。

相続・遺産分割は家庭によって千差万別ですので、細かい状況も含めて弁護士へ相談し最適なアドバイスを受けることが望ましいでしょう。

 

遺産分割の禁止をするべきか弁護士に相談するメリット

遺産分割の禁止を検討している場合は、専門的な知識を持つ弁護士の助言が非常に重要です。ここでは、その理由を分かりやすく説明します。

本当に禁止すべきか最善のアドバイスを受けられる

遺産分割の禁止が実際に相続人全体にとって最善の選択なのか、弁護士は豊富な経験があるのでベストな判断が可能です。

たとえば、遺産分割に参加する相続人の一人が重い病気で判断力に問題がある場合や、禁止できる最長期間を待っても未成年者が成人せず特別代理人をつけなければいけない場合など、遺産分割を禁止すべきか否かについて状況に応じたアドバイスを提供いたします

相続税の問題も相談可能

重ねてになりますが、遺産分割の禁止があっても、相続税の申告期限は延長されません。

遺産分割を待っている間に相続税の申告期限が来てしまうかもしれませんので、この場合も臨機応変な対応が必要です。

当事務所は代表弁護士が税理士資格を有している他、税理士事務所とも連携しております。相続税が絡んだ問題もお気軽にご相談ください。

遺言作成、遺産分割などあらゆる問題に対応可能

弁護士は、遺産分割の禁止だけでなく、遺言作成、相続調査、遺産分割など相続全般にわたる問題に対応することができます。

また、相続におけるトラブルが起こってしまった際に代理人として法的な解決を目指すことができるのは弁護士だけです。ここが司法書士や税理士などの他士業と異なるポイントであり、やはり弁護士は安心できる相談先といえるでしょう。

 

遺言・遺産分割のお悩みは弁護士にご相談ください

遺産分割に関する様々な問題や疑問については、地元岡山に密着した西村綜合法律事務所にご相談ください。

当事務所では、遺産分割の禁止やその他の相続問題に関する専門的な知識と経験を持つ弁護士が迅速かつ丁寧なサポートを提供します。初回相談は無料で、オンライン面談も可能ですので、遠方にお住まいの方やご多忙な方も気軽にご相談いただけます。

遺産分割に関するお悩みや疑問があれば、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

お問い合わせから初回相談までの流れ

(1)当事務所は事前予約制ですので、下記のお問合せフォームよりお申込みください
(2)当事務所から折り返しご連絡いたしまして、面談(来所/オンライン)の日程を決定します
(3)必要な書類などをご用意いただき、初回無料相談を実施いたします
※利益相反などの理由でお引き受けできない場合もございますので、あらかじめご了承ください。
※面談は平日での実施となります。土日・祝日は対応できかねますのでご了承ください。

 

必須お名前(カタカナ)

必須ご年齢

必須ご相談内容をお選びください

任意 差し支えなければご相談内容を簡単にお教えください(最大20字)

必須被相続人のお名前(カタカナ)
※ご自身の相続に備える事前準備のご相談の場合は、ご自身のお名前をご記入ください

必須その他の相続人のお名前(カタカナ)
お手数ですが、相続人全員のお名前をご記入ください。
※1:わかる範囲で問題ありませんので、すべてご記入ください
※2:相続人がいない場合や、不明な場合はその旨をご記入ください

必須紛争(トラブルや揉め事)が生じている場合は、その相手方の名前(カタカナ)
※紛争が生じていなければその旨ご記入ください

必須希望相談先をお選びください(>>各事務所のアクセスはこちら)

必須お電話番号

必須メールアドレス

必須ご住所

任意弊所から折り返す際のご連絡方法

任意 もし、弊所からの折り返し日時にご希望があればお教えください

この記事の監修者

監修者:西村啓聡

弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士

西村写真

注力分野

岡山エリアでの相続分野(遺産分割・遺留分侵害額請求など多数の相談実績)

経歴

東京都内の法律事務所での勤務を経て、岡山県に弁護士法人西村綜合法律事務所を創立。県内を中心に年間約80件の相談を受けており、岡山エリアの相続に強い弁護士として活動。地域に根ざし皆様の拠り所となれるような法律事務所を目指している。