遺産相続を勝手に手続きされた!遺産分割を知らなかったときの対処・やり直しについて弁護士が解説

相続人が複数人いる場合、自身の知らないところで遺産相続手続きが無断で行われてしまうことがあります。

では、もし自身が除外された状態で遺産分割協議や相続関連の手続きが行われてしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?というわけで今回は、遺産相続手続きを無断で行われた場合の対処法について弁護士が解説していきます。

遺産相続を無断で実施されるケース

遺産相続を無断で実施されるケースとしては、主に以下のものがあります。

以下のケースに心当たりのある方は、後述する対処法をぜひ参考にしてください。

遺言書の存在を知らなかった

亡くなった方が遺言書を作成していたにも関わらず、それを知らない一部の相続人が勝手に相続手続きをしてしまうことがあります。

遺言書というのは亡くなった方の最後の意思表示であるため、法定相続分よりも優先順位が高いとされています。

また、遺言書の内容を無視して遺産分割を行うには、相続人全員の同意が必要となっています。1人でも同意していなかった(知らなかった)、時点で遺産分割協議は無効となります。

無断で預金を解約して残高を引き出された

一部の相続人が無断で被相続人の預金を解約してしまうことがあります。

昨今においては、銀行側が相続手続きに慎重になっていて、相続人単独による預金の解約については受け付けないことがほとんどです。しかし、相続関係の書類を偽造するなど、悪質な行為によって無断で預金を解約、残高を引き出されてしまうケースがあります。

 

無断で株式を売却された

株式の売却についても、基本的には証券会社側が相続手続きに慎重になっているため、無断で売却されるケースは稀です。

しかし、もし書類の偽造などによって、無断で株式を売却されてしまえば、一部の相続人が株式の売却金等を自分のものにしているケースがあります。

相続人ではない人が無断で財産を処分する

本来、相続人でない人間に相続権が生じることはありません。

しかし、遺言書を偽造するなどして、遺贈があったことにし、無断で財産を処分してしまうといったケースが現実にはあります。また、相続人の調査が行われていない場合、勘違いによって相続人以外の人間が遺産分割協議などによって財産を取得し、勝手に処分してしまうといったケースもあります。

相続登記を勝手にされた

相続登記をする際は、検認済みの遺言書や公正証書遺言、遺産分割協議書など、対象となる不動産の権利が誰に移ったのかを証明する書類が求められます。

しかし、これらの書類を偽造することで、相続登記を勝手にされてしまうケースは実際にもあります。

また、法定相続分で相続登記をする場合は、共有名義(相続人全員の名義)にすることで、勝手に相続登記をすることが可能となっています。

無断で遺産相続手続をおこなわれたときの対処法

無断で行われた遺産分割手続きに対処するためには、以下の対処法が考えられます。

預金口座を凍結する

亡くなった方の預貯金を勝手に引き出されていた場合は、それ以上の引き出しをされないためにも銀行に連絡をして預金口座を凍結してもらってください。

銀行というのは、口座名義人が亡くなると口座を凍結します。しかし、口座名義人が亡くなった事実を銀行に知るすべはないため、相続人、または関係者が連絡しなければなりません。

なお、勝手に引き出されていた正確な金額を確認するためにも、必ず銀行から取引明細を取得してください。取引履歴は可能な限り遡って取得し、不自然な出金がないか確認してみましょう。

遺産分割協議をやり直す

勝手に預貯金が引き出されていた場合や、無断で株式を売却されていた場合は、遺産分割協議をやり直すことで対処可能です。

無断で預金の引き出しや、財産の売却をしていた相続人の取り分を減らし、他の相続分の取り分を増やすことで適切な遺産分割をすることができます。

遺産分割調停を申し立てる

もし、話し合いでの解決が難しい場合は、遺産分割調停を申立てましょう。

遺産分割調停とは、家庭裁判所で行う調停手続きの1つです。家庭裁判所から選任された地域の有識者である調停委員が先導し、話し合いが進行されるため、当事者間のみで遺産分割協議を行うより、はるかに建設的な解決が見込めます。

また、遺産分割調停が不成立となってしまった場合も、遺産分割審判手へと手続きは移行し、裁判官が強制的に各相続人の取り分を決めてくれます。

代償金を請求する

遺産分割協議のやり直しや、遺産分割調停・審判といった手続きの申立てが困難である場合は、無断で多く取得した相続人に対して代償金を請求しましょう。

代償金の請求については、不当利得返還請求や、不法行為にもとづく損害賠償請求といった形で裁判所を通じて請求することも可能です。このような、なくなった財産に代わって取得できる財産を「代償財産」といいます。本来あなたが取得できるはずだった財産を請求しましょう。

弁護士に相談・依頼する

無断で遺産相続手続きを行われたときは、弁護士への相談・依頼も視野に入れましょう。

自身が相続人であるにも関わらず、他の相続人に無断で遺産相続手続きをされてしまったということは、関係自体が希薄であるケースがほとんどです。まともな関係性のない他の相続人を相手に交渉・請求するには精神的にも多大な負担となります。

しかし、弁護士であれば、あなたに代わってすべての交渉・請求を行ってくれます。基本的には報告を待っていれば手続きはどんどん進んでいくため、対処法として非常に有効です。

勝手に遺産相続手続きをされたら時効に注意!

勝手に遺産相続手続きをされてしまった場合、時効には必ず気を付けてください。

そもそも遺産分割協議には時効はありません。無効な遺産分割協議が行われていたのであれば、いつ、どんなタイミングであってもやり直しを求めることができます。

しかし、不当利得請求や不法行為にもとづく損害賠償請求には時効があります。たとえば、不当利得請求であれば、請求できることを知ってから5年、もしくは請求可能になってから10年という時効があります。

時効が経過してしまえば、あなたの権利を守ることができなくなる恐れがあるため、無断で遺産相続手続きが行われたのを知ったら早急に対策を講じてください。

遺産相続を無断でされた方は西村綜合法律事務所にご相談ください

遺産相続手続きを無断でされてしまった場合、本来自身が受け取るはずだった財産を取り戻すのは簡単ではありません。

遺産分割協議のやり直しや、遺産分割調停の申立て、不当利得返還請求や、不法行為にもとづく損害賠償請求といった手続きは、いずれも専門知識が求められます。また、遺産相続を無断で行うような相手と、まともに話し合いをするには困難が伴うケースはめずらしくもありません。

もし、遺産相続を無断でされてお困りになっているという方は、まずは西村綜合法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修者

監修者:西村啓聡

弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士

西村写真

注力分野

岡山エリアでの相続分野(遺産分割・遺留分侵害額請求など多数の相談実績)

経歴

東京都内の法律事務所での勤務を経て、岡山県に弁護士法人西村綜合法律事務所を創立。県内を中心に年間約80件の相談を受けており、岡山エリアの相続に強い弁護士として活動。地域に根ざし皆様の拠り所となれるような法律事務所を目指している。