納得できない不利な遺産分割協議書にサインしなかったらどうなりますか?

A.サインしなければ遺産分割協議は成立しません

遺産分割協議書は、すべての相続人が署名・押印しない限り成立しません。

相続人のうち1人でも合意せず署名しなかった場合、その協議書は法的に無効とされ、遺産の分割手続きは進みません。したがって、納得できない協議書に対しては、サインを拒否することで不利な内容の確定を防ぐことが可能です。

もちろん、サインしないからといって直ちに不利益が生じるわけではありません。ただし、他の相続人との関係が悪化したり、後述する「調停」へと進む可能性が高くなる点には注意が必要です。

しかし、遺産分割調停へと進む可能性が高いです

遺産分割調停ってなに?

遺産分割調停とは、家庭裁判所に申し立てて行う正式な手続きで、調停委員という中立的な立場の第三者が相続人間の話し合いをサポートしてくれる制度です。

当事者同士の協議がまとまらない場合に用いられ、法的にも強い効力を持ちます。調停で合意が成立すれば、その内容は審判と同等の効力を持ち、遺産分割が法的に確定します。

協議での押しつけ合いや感情的なやりとりに疲弊している場合には、調停の活用が有効な選択肢となります。

遺産分割調停には参加義務はあるの?

調停の申し立てがなされた場合、家庭裁判所から通知が届きます。

正当な理由なく出席を拒否したり、無視したりすると、裁判所が一方的に審判手続に移行することがあります。つまり、遺産分割調停には事実上の参加義務があると考えるべきです。出席したうえで意見を述べたり、調停に不服がある場合はきちんと主張することが、後の不利益を避けるために重要です。無断欠席や曖昧な態度は、相続分に悪影響を及ぼす可能性があります。

こんなときは弁護士へご相談ください

他の相続人が「これにサインしないと遺産はもらえない」と強く迫ってくる

強引な圧力によってサインを迫られるケースは珍しくありませんが、そもそも遺産分割は法に基づいた手続きであり、誰かの一方的な主張で決まるものではありません。

仮にそのような圧力があった場合、サインする前に弁護士に相談することで、自身の相続分を正しく確認でき、不要なトラブルを回避できます。脅しに屈するのではなく、法的に有効な対応をとることが重要です。

明らかに自分のもらえる分が少ない遺産分割案になっている

協議書の内容が法定相続分や実態に照らして不公平であると感じた場合、それは再協議または調停によって見直すべき状況です。

「兄が長男だから」「実家を継いでいるから」などの理由だけで分割案が形成されることもありますが、相続は感情論ではなく法律で決められるものです。不当に少ない提案を受けた場合には、妥協せず法的な根拠に基づいた交渉が必要となります。

相続人の中に不正(使い込みや隠し財産)が疑われる人物がいる

被相続人の預金を生前に引き出していた、財産の一部が目録に記載されていない――こうした事実がある場合、それは「使い込み」や「遺産隠し」に該当する可能性があります。

適正な遺産分割の前提となるのは、すべての財産が正確に開示されていることです。不審な点がある場合には、調査を含めて弁護士の関与が不可欠です。実際に訴訟に発展するケースもあるため、早期の対応が有利に働きます。

 

遺産分割のトラブルは西村綜合法律事務所へご相談ください

西村綜合法律事務所では、相続トラブル、とくに不公平な遺産分割や財産隠し・使い込みといった事案への対応実績が豊富にございます。遺産分割においては、感情や家族関係のもつれだけでなく、法律的な主張と証拠の整備が結果を左右します。当事務所では、相続人同士の交渉支援、調停や審判への対応、財産調査の実施まで一貫して対応しております。

初回相談は無料ですので、「これって不利な内容では?」「そもそも自分はどのくらい相続できるのか?」といったお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。オンライン面談も可能なため、岡山県外からのご相談にも対応可能です。弁護士が、法律的観点からご相談者様にとって有利となる戦略をご提案いたします。

この記事の監修者

監修者:西村啓聡

弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士

西村写真

注力分野

岡山エリアでの相続分野(遺産分割・遺留分侵害額請求など多数の相談実績)

経歴

東京都内の法律事務所での勤務を経て、岡山県に弁護士法人西村綜合法律事務所を創立。県内を中心に年間約80件の相談を受けており、岡山エリアの相続に強い弁護士として活動。地域に根ざし皆様の拠り所となれるような法律事務所を目指している。