他の相続人や兄弟が親を囲い込んで(言いくるめて)、不利な遺言を作られてしまったら?

無効な遺言書であれば対処が可能です

「兄弟が親を囲い込み、不利な遺言を書かせた」と感じる場面では、まず冷静に遺言書の効力を見極める必要があります。

遺言は被相続人の最終意思として尊重されるべきものですが、一定の要件を欠いていたり、不当な影響を受けた形跡がある場合には無効とされる可能性があります。

一見有効に見える遺言でも、事実関係や証拠に基づいて法的に争うことが可能です。ご相談者様が不利な立場に置かれていると感じている場合には、早期に法的手段を検討することが、状況の打開につながります。

まずは内容を確認!!遺言が「無効」とされる主なパターン

遺言能力がなかったと認められるケース(認知症・精神障害)

遺言を作成するには、被相続人が遺言内容を理解し、自ら意思をもって判断できる能力(遺言能力)を備えている必要があります。

認知症や統合失調症、うつ病などにより判断能力が著しく低下していた場合、その時点で作成された遺言は無効とされる可能性があります。この判断には医療記録や診断書が重要な証拠となるため、遺言作成時の状態を裏付ける客観的資料の確保が不可欠です。

強迫・詐欺・影響力の行使による遺言(民法1021条の違法性)

民法1021条では、詐欺・強迫・重大な影響力の行使による遺言は取り消すことができると定められています。

兄弟などが親に対し「他の相続人には一切渡さなくていい」などと不安や恐怖を煽りながら特定内容の遺言を強制した場合、法的に問題のある行為と評価される可能性があります。

不自然な内容の遺言が単独で有効とされない可能性とは

遺言内容が極端に偏っており、「全財産を一人の相続人に集中させている」「生前の関係性と著しく異なる分配がされている」といった場合、真意に基づいて作成されたかどうかが争点になります。

一見合法に見えても、他の相続人を意図的に排除するような記述がある場合には、その背景事情を調査し、遺言能力の欠如や不当な影響の存在を主張する余地があります。

囲い込み・結託があったと疑われる場合に行うべき行動

まずは遺言書の方式と内容を精査する

自筆証書遺言であれば、日付・署名・押印が揃っているかといった方式の要件が満たされているかを確認する必要があります。

公正証書遺言の場合も、公証人がどのような経緯で作成したかを把握し、作成過程に不審点がないかを調査することが重要です。文面だけを見て判断せず、可能な限り証拠や証言を収集しましょう。

親の健康状態・判断能力を裏付ける医療記録を確保する

遺言の有効性を争うには、遺言作成前後の診療記録や介護記録、服薬履歴などを確認し、判断能力に問題がなかったかを検証する必要があります。

主治医の意見書を取得できれば、後の調停や訴訟において強い証拠として活用できます。

兄弟とのやりとり(LINE・通話履歴など)を保存する

兄弟とのやり取りの中で、「親に会わせない」「もう全部俺が決める」などの発言があった場合、それは囲い込みや不当な影響力の証拠になり得ます。

LINEの画面キャプチャや通話録音の保存を心がけてください。録音の法的効力については、弁護士にご相談いただくと安心です。

介護・看病など実際の貢献内容も証拠化しておく

親の療養中に長期間介護を担っていた、医療機関との調整をしていたといった貢献がある場合には、その事実を明確にしておくことが重要です。

写真、訪問記録、メール履歴、介護日誌などの客観的資料は、寄与分の主張や不当性の補強材料になります。

遺言書トラブルにおける弁護士の役割

感情的な交渉は逆効果。冷静な法的交渉が必要です

相続問題、とりわけ兄弟間の遺言トラブルは、感情的な対立を招きやすく、冷静な交渉が困難になりがちです。ご相談者様ご自身で対応を続けると、相手のペースに巻き込まれ、かえって不利になることもあります。弁護士が入ることで、法律に基づいた冷静な主張が可能となり、交渉の優位性を確保することができます。

証拠保全や仮処分が必要になるケースとは

遺言書の原本が所在不明になったり、相手が遺産を使い込み始めた場合には、証拠保全や仮処分などの緊急対応が必要になるケースもあります。これらの法的措置は専門的知識が求められ、タイミングを誤ると回復不能な損害が発生するおそれがあります。弁護士が迅速に対応すれば、被害の拡大を防ぐことができます。

調停・訴訟での勝率を高める弁護士の役割

遺言無効確認訴訟や遺産分割調停では、法的な主張だけでなく、事実関係の整理と証拠の提示が重要です。

弁護士はこれらを適切に構築し、ご相談者様にとって有利な方向に進めるための戦略を組み立てます。争点の明確化、相手方の矛盾点の指摘など、勝率を高めるための準備が、早期段階から求められます。

遺言・相続・遺産分割のトラブルは西村綜合法律事務所へご相談ください

遺言をめぐる相続トラブルは、感情的対立と法的複雑さが入り混じる厄介な問題です。特に囲い込みや結託といった不透明な背景がある場合、一般の方が単独で対応するのは困難を極めます。

当事務所では、地元岡山に根ざし、相続問題に豊富な実績をもつ弁護士が、初回無料相談にて対応いたします。オンライン面談にも対応しておりますので、遠方やご多忙な方も安心してご相談いただけます。遺言・相続に不安を抱えていらっしゃる方は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。

この記事の監修者

監修者:西村啓聡

弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士

西村写真

注力分野

岡山エリアでの相続分野(遺産分割・遺留分侵害額請求など多数の相談実績)

経歴

東京都内の法律事務所での勤務を経て、岡山県に弁護士法人西村綜合法律事務所を創立。県内を中心に年間約80件の相談を受けており、岡山エリアの相続に強い弁護士として活動。地域に根ざし皆様の拠り所となれるような法律事務所を目指している。