遺言書を書き直したい時はどうする?自筆証書遺言・公正証書遺言などタイプ別に解説!
このページでは、遺言書の訂正や書き直しを検討している方に向けて、自筆証書遺言や公正証書遺言を変更する際の方法や手順について解説します。加えて、遺言書があっても相続人全員の合意によって異なる遺産分割をする場合の注意点についても触れさせていただきます。
遺言書の変更をお考えの方に役立つ内容となっておりますので、ぜひご覧ください。
目次
遺言書の書き直しや訂正を検討する典型的なパターン
相続財産の金額や状況が変化した
遺言書を作成した後、所有していた不動産を売却したり、新たに不動産を購入したりするケースがあります。
また、株式や投資信託などの金融資産が大幅に変動することや、事業を営んでいる場合には事業の売却や資産の再配分などが起きる場合もあります。こうした財産の変動により、遺言書に記載された内容が実情にそぐわなくなることがあります。
たとえば、「A不動産を長男に相続させる」と記載していたにもかかわらず、その不動産が売却されてしまった場合、遺言書に基づく相続は実行不可能となります。このような場合、遺言書を訂正したり、新たに書き直すことで、財産状況に即した内容に変更することが必要です。
遺言を作った時点と比較して、被相続人の心情や家族関係が変化した
遺言書を作成した当初は家族間で良好な関係を築いていた場合でも、その後の家族関係に変化が生じることは珍しくありません。
たとえば、兄弟間で遺産に関する意見の相違が生じて不和に陥ったり、疎遠だった親族との関係が修復されて、相続の分配を見直したいと感じることがあります。また、特定の親族に対する感謝や支援の意図が変わることもあります。
たとえば、長期間介護を続けてくれた親族への感謝の気持ちを反映させるため、遺産配分を変更したい場合などです。このような場合も書き直しを検討するタイミングと言えるでしょう。
家族構成自体が変わった
家族構成が変わることは、遺言書の見直しを行う重要なタイミングです。
たとえば、相続人となる子どもが2人いる状況を考えてみましょう。このうち、一方の子どもが結婚し、その後孫が何人も生まれた場合、遺言者としてはその子どもに多めに財産を相続させたいと考えることがあります。理由としては、孫たちの養育や教育費を含めた生活支援を意識し、より現実的な配慮を行いたいと考えるためです。このような状況では、現行の遺言書が家族の実情にそぐわなくなる可能性があるため、遺言書の書き換えを行うことが適切です。
また、逆に、相続人の一人が先に亡くなった場合や、特定の家族に経済的な支援が不要となる状況が発生した場合もあります。このような場合は、他の相続人に財産を分配する内容に変更する必要が生じます。たとえば、「長男に不動産を相続させる」と記載されていた遺言書が、その長男の死去により有効性を失う可能性があります。この場合、不動産を次に誰に相続させるべきかを明確にしておくことで、相続の際の混乱やトラブルを防ぐことができます。
自筆証書遺言を訂正(書き直し)することは可能?
遺言者であれば訂正することができます
自筆証書遺言は、遺言者本人であれば訂正が可能です。ただし、訂正には法律で定められた厳密な手続きが必要ですので、注意が必要です。
自筆証書遺言の訂正が認められる条件
(1)訂正箇所を明確に示すこと
訂正箇所を明確にし、どの部分を変更したのかを具体的に記載する必要があります。
(2)訂正箇所に押印すること
訂正した箇所には遺言者の印鑑を押すことが求められます。
(3)変更した旨も合わせて記載および署名すること
「第〇条について△△を削除し□□を追加」などと変更内容を具体的に記載し、署名を追加します。
最初から書き直してしまってもOKです
遺言書は最新のものが有効となるため、訂正よりも新しい遺言書を作成する方が簡単な場合もあります。特に訂正箇所が多い場合や、内容を大幅に変更したい場合は、最初から書き直すことを検討してください。
公正証書遺言を訂正(書き直し)することは可能?
訂正は出来ませんが、書き直しは可能です
公正証書遺言は、公証役場に原本が保管されているため、訂正ではなく新たに作り直す必要があります。書き直しをする場合、遺言内容を再確認し、必要な準備を進めることが重要です。
公正証書遺言を作り直す際の流れ
必要書類および2名の証人を集めましょう
公正証書遺言を新規作成する際には、以下の書類が必要です:
- 遺言者の出生からの戸籍謄本
- 遺言者の実印および印鑑登録証明書
- 遺産の範囲と額がわかる資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書または課税明細書、金融機関の通帳、有価証券の一覧など)
- 受遺者がいる場合は、受遺者の住民票等
- 証人の身分証明書(住民票等)および印鑑(実印である必要はありません)
公証人役場にて遺言を作成しましょう
公証人と相談しながら、新しい公正証書遺言を作成します。証人2名が同席し、内容を確認した上で手続きを進めます。
手元にある公正証書遺言を捨てたり訂正しても効力が無いことに注意してください
手元にある公正証書遺言を破棄したとしても、効力が無効になるわけではありません。必ず新しい遺言書を作成し公正証書化することで、以前の遺言書を無効なものにする必要があります。
相続人全員が合意すれば遺言書と異なる遺産分割をすることも可能です
遺言書の内容は法的拘束力を持ちますが、相続人全員が同意すれば、遺言書と異なる形で遺産分割を行うことも可能です。
たとえば、遺言書に記載されていない相続人が特定の財産を受け取る場合や、遺言の内容が相続人間で公平ではないと感じた場合、話し合いで解決するケースがあります。
ただし、相続人間で合意が取れない場合は、調停や裁判に進む可能性もあります。合意形成が難しい場合は、弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
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