遺産相続の手続きって自分でできる?弁護士に依頼すべきケース4選
相続が発生したらまず何をしなければならないか
相続手続を行うにあたり,相続人となった方はまずここで紹介する事項を確認する必要があります。
①遺言書の有無を確認
まず,被相続人が生前に遺言書を遺していないかを確認することになります。
遺言書は自筆の物であれば自宅や銀行の貸金庫,最近では法務局への預かりサービスを利用していることが考えられます。また,公正証書で作成した場合は,公証役場への問い合わせを行うことで確認することになります。
②相続人を確認
続いて,相続人が誰かを確認することになります。
被相続人に離婚歴がある場合,前婚の際の子が存在するケースも見受けられます。被相続人の戸籍を確認し,相続人の範囲を正確に把握する必要があります。
③遺産を確認
また,被相続人の遺産も確認しておく必要があります。プラスの財産だけでなく,借入等の負債も対象となります。
万が一,遺産分割協議が終了した後に新たな遺産が見つかった場合,場合によっては再度の遺産分割を行う必要が生じます。
④遺産分割協議
相続人,遺産の範囲が確定した場合,相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。一部でも相続人が漏れている場合,無効となりますので注意が必要です。
⑤相続税の申告
遺産の金額によって,相続税の申告が必要となる場合もあります。その場合は,相続開始から10カ月以内に相続税の申告を行う必要があります。相続税が発生する場合は,相続税申告も視野に入れ,遺産分割のスケジュールを組んでいく必要があります。
弁護士に依頼することをおすすめするケース
相続手続について,次のようなケースは弁護士に依頼することをおすすめします。
①遺言書の有効性に争いがあるような場合
被相続人の遺言書が一応見つかったが,その筆跡が被相続人のものか疑わしい場合や,遺言書作成時に認知症が進行しており,本人が作成したのか疑わしい場合,当該遺言の有効性が争点になります。
そのような場合は,有効性の判断や争い方,資料の収集等,専門的な知識が必要になります。そのため,弁護士の助言の下,手続をすることを強くおすすめします。
②相続人が多数にわたるような場合
相続人が多数にわたる場合,相続人調査が非常に難しい場合があります。
また,人数が増えるとその分協議を行う負担も増加します。
そのような場合,専門の弁護士に依頼をして,相続人調査から協議まで任せることをおすすめします。
③遺産分割で紛争になりそうな場合
遺産分割においては,財産の分配だけでなく,生前に一部相続人のみが贈与(特別受益)を受けている場合や,生前に被相続人の介護や身の回りの世話をしていたとして寄与分の主張をする場合等に法的な紛争が生じることがあります。
このような法的紛争が生じた場合は弁護士に依頼することを強くおすすめします。
④遺産の中に使途が判らない金銭がある場合
その他,遺産の預貯金について一部の相続人が使い込みをしていることが疑われる場合や,使途が明らかではない預金の引き出しがあるような場合は,その点をめぐり紛争になる可能性が高くなります。
その場合,初動の資料収集が肝心となるケースが多く,早めの段階で弁護士に依頼することを強くおすすめします。
相続手続きを弁護士に依頼するメリット
相続は,被相続人が亡くなった場合に発生します。相続手続は法律によりルールが定められており,これを守らずに手続を進めてしまうと,後々紛争になることもあります。
そのため,相続手続で不安を感じられた際は,速やかに弁護士に相談することをおすすめします。ここでは,相続手続を弁護士に任せるメリットについて説明します。
①迅速な調査
相続手続が始まると,まずは相続人や相続財産の調査を行う必要があります。弁護士に任せた場合,必要な戸籍の収集や預金口座の取引履歴の取得等,必要な手続についてサポートを受けることができます。
②法的に適切な解決の提案
相続財産の分配に関しては,相続人間で意見が食い違うことも多くあります。その際に,一部の相続人がイニシアチブをとり,自らに有利な条件で話合いを進めてしまうケースも見受けられます。
弁護士にご相談いただければ,他の相続人から提案された条件が法的に適切なものか検討の上,アドバイスを受けることが可能です。
③交渉や手続を任せられる
相続手続は相続人全員でする必要があります。その際,意見が対立している相続人や長年疎遠となっている相続人との協議は心身ともに負担が大きいものとなります。
弁護士に依頼した場合,このような煩わしい交渉を全て任せることが可能です。
④法的な紛争(調停、審判、訴訟等)も対応可能
相続人間で意見がまとまらない場合,調停・審判等裁判所での手続が必要になる場合もございます。
その場合でも,弁護士に手続を任せることが可能です。
弁護士に依頼した際の費用
相続手続を弁護士に依頼した場合,一般的に次の費用が必要となります。なお,事件に応じて金額も変動することがありますので,詳細はご相談の際に弁護士から説明をさせていただきます。
①着手金
事件をお受けした際にいただく費用となります。
②報酬
遺産分割等事件が終了したときに生じるものとなります。
③実費(経費)
手続に必要となる実費として,戸籍や住民票の取得費用や,調停手続等を利用した場合の手続手数料等が必要となることが想定されます。
まとめ
相続手続は,親族間で発生するものが大半であり,そこで紛争が生じると感情的な対立が強く,当事者間での話合いによる解決が難しい場合が多く見られます。また,法的にも難しい問題が生じることもあります。
そのような場合にはぜひ,弁護士に一度ご相談ください。
当事務所でも,相続手続について経験を積み、相続に強い弁護士が紛争解決に向けたサポートをさせていただきます。