相続対策に資産管理会社を活用するメリットと設立時の注意点
資産管理会社は相続対策の一手段として注目されていますが、節税や承継の観点から見たメリットだけでなく、設立や運用に伴うリスクも存在します。
本ページでは、資産管理会社の基本的な仕組み、相続財産の承継に利用される理由、そして相続対策としての具体的な利点を整理しましました。
資産管理会社の設立による相続対策をお考えの方に役立つページとなっております。
目次
資産管理会社とは?相続にどう活用できるのか
資産管理会社の仕組みと特徴
資産管理会社とは、不動産や株式などの資産を個人ではなく法人で保有・管理する会社を指します。
通常、家族や親族が株主・役員となり、資産の運用や承継を効率的に進めることを目的とします。法人化することで所得を分散でき、相続税評価額が変動する点も特徴です。
ただし、会社として実体を備え、事業活動や管理業務を行っていなければ形式的と見なされ、税務上のリスクを招く可能性があります。相続対策で用いる場合も、その法的性質を正しく理解しておく必要があります。
なぜ相続財産の承継に利用されるのか
資産管理会社が相続対策で用いられる理由は、相続財産を株式に変換し、承継を容易にできる点にあります。
個別の不動産や株式を直接分けると煩雑になりますが、資産管理会社を設立してそれらを会社名義にすれば、相続人には会社株式を分配する形で承継が可能になります。結果として、資産を一元的に管理しやすくなるほか、遺産分割協議の対象を株式に集約できるため、分配を巡る対立を軽減できる可能性があります。ただし、実際には株式の評価や議決権を巡る紛争も生じ得るため、専門的な設計が不可欠です。
相続対策として資産管理会社を設立するメリット
相続税評価の引下げ・節税効果
資産管理会社を利用すると、資産が法人に移転され、相続時には株式が評価対象となります。
この株式評価は、資産の簿価や収益力を基に算出されるため、個人で直接保有している場合よりも評価額が下がる可能性があります。結果として、相続税の負担軽減につながることがあり、特に不動産や非上場株式を多く保有するケースでは有効です。ただし、過度に節税だけを目的とすると、税務調査で否認されるリスクがあるため、適法性を意識した計画が必要です。
株式承継によるスムーズな事業・資産承継
不動産や株式を個別に相続人へ分割すると、登記や取引の手続きが複雑になり、承継後の管理が困難になります。
これを資産管理会社にまとめることで、相続人には株式を承継させればよく、承継の煩雑さを大幅に軽減できます。さらに、株式を特定の相続人に集中させることで、経営権を安定させ、承継後の運営を円滑に進めることも可能です。
兄弟間トラブルを防ぎやすい仕組みづくり
資産管理会社を用いることで、相続人が複数の資産を直接取り合う状況を避けられます。
相続人には株式を通じた持分権を与える形となり、財産の分割方法がシンプルになります。ただし、株式の議決権や配当を巡って新たな争いが生じることもあるため、株主間契約や遺言を組み合わせて設計することが重要です。
適切に制度を用いれば、兄弟間での不要な争いを減らすことができ、ご相談者様にとって有利な相続環境を整えられます。
相続対策や運用面で注意すべきリスク
形式的会社による税務否認リスク
実態のない資産管理会社を設立しても、税務当局に否認される危険性があります。
管理業務を行っていない、収益活動がない、単に節税目的で設立された会社は、ペーパーカンパニーと見なされかねません。その場合、期待した節税効果が失われ、追徴課税の対象となることもあります。
弁護士の視点からは、設立前に会社の事業目的や実態を伴う運営体制を整えることが不可欠だといえます。
設立・維持コストと資金繰りの負担
資産管理会社は法人格を持つため、設立時には登録免許税や定款認証費用、維持には法人税や会計処理のための専門家報酬が発生します。
資産規模が十分でない場合、コスト負担が節税メリットを上回ることもあります。相続対策として検討する際は、経済的合理性を精査することが重要です。
不公平感や遺留分侵害による相続人間紛争
資産管理会社を通じて特定の相続人に株式を集中させた場合、他の相続人から不公平感が指摘される可能性があります。
特に、遺留分侵害額請求が行われると、設計したスキームが大幅に崩れることもあります。法的には遺留分を侵害しない形での承継が求められるため、設立時から弁護士による検証を行い、将来の紛争リスクを抑えることが不可欠です。
弁護士に相談するメリット
株主間契約や定款整備による紛争予防
資産管理会社を利用する場合、相続人が株主になる可能性を前提に、定款や株主間契約でルールを整備しておく必要があります。
弁護士であれば、議決権制限や株式譲渡制限を含め、ご相談者様にとって有利な規定を検討できます。これにより、将来の経営権争いや株式の分散を防ぐことが可能です。
遺留分や調停を見据えた交渉戦略
資産管理会社を利用しても、遺留分侵害額請求や遺産分割調停に発展する可能性はあります。
弁護士に相談することで、これらの法的紛争に備え、どのように承継計画を立てるか、交渉をどの立場で進めるかを戦略的に設計することが可能になります。事前の準備により、ご相談者様にとって有利に相続を進められる可能性が高まります。
税理士・司法書士と連携した総合サポート
資産管理会社の設立や運営には、税務や登記の専門知識も不可欠です。
弁護士が中心となって税理士や司法書士と連携することで、法務・税務・登記を一括してサポートできます。ご相談者様は複数の専門家に個別対応する負担を避け、効率的に問題を解決できます。
相続対策・会社設立の相談は西村綜合法律事務所まで
資産管理会社は相続対策に有効な手段となり得ますが、設計や運用を誤ると税務否認や相続人間の争いを招くリスクがあります。
制度のメリットとリスクを正しく理解し、法的・税務的な観点から総合的に判断することが大切です。当事務所は地元岡山に密着し、初回相談は無料で承っております。オンライン面談にも対応しておりますので、遠方やご多忙の方にもご利用いただけます。経験豊富な弁護士が迅速に対応し、ご相談者様にとって有利な相続対策を提案いたしますので、資産管理会社の設立や運用に不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
