他の相続人(兄弟姉妹)から遺産が残っていないと言われたが、親から事前に聞いていた話と違う場合はどうすればいいですか?

まずは鵜呑みにせず、客観的な事実確認をしましょう

相続手続きにおいて、兄弟姉妹など他の相続人から「遺産(相続財産)はもう残っていない」と一方的に告げられるケースは少なくありません。

しかし、その言葉を鵜呑みにしてしまうことで、本来受け取れるはずの財産を見逃してしまう恐れがあります。遺産(相続財産)は、主観や感情ではなく、あくまで客観的な資料や手続きの履歴をもとに確認すべき事項です。

不明瞭な点がある場合には、ご自身で判断せず、弁護士の助言を受けながら慎重に対応することをおすすめします。

「遺産はもうない」と言われたときの最初の確認ポイント

遺産(相続財産)が本当に存在しないのか、まずは客観的に整理する

まずは、「遺産(相続財産)がない」という言葉の裏付けとなる具体的な資料や説明があるかを確認しましょう。

相続財産は多岐にわたり、預貯金・不動産・株式・生命保険金・未収入金など、すぐには把握できないものも含まれます。言葉だけではなく、帳簿や明細、取引履歴などの実体をもとに冷静に整理することが重要です。

通帳・不動産・有価証券など親の財産情報を再確認

被相続人が生前に保有していた通帳、不動産の権利証、株式や投資信託の明細などが手元にある場合は、必ず確認しておきましょう。

また、過去の郵便物や税務申告書、介護費用の支出記録から新たな財産が見つかることもあります。可能な限りの情報収集を行い、隠れた財産がないかをチェックすることが大切です。

兄弟姉妹が遺産(相続財産)を管理していた場合、証拠が隠されている可能性も!

相続財産の管理を兄弟姉妹のいずれかが一手に担っていた場合、意図的または無意識的に情報を開示せず、特定の相続人に不利な状況を作り出すことがあります。

「知らなかった」「もう使ってしまった」といった言い訳がされるケースもあるため、相手の言葉だけに頼らず、客観的な証拠を元に実態を把握する必要があります。

兄弟姉妹による遺産の隠匿や使い込みが疑われる場合の対応策

金融機関への照会で通帳・残高証明を取得する

相続人であれば、金融機関に対して故人の口座取引履歴や残高証明を取得することが可能です。

これにより、不審な出金がなかったか、死亡直前にまとまった金額が引き出されていないかを確認できます。不自然な動きが見られる場合は、不当利得返還請求や遺産の使い込みとして争点になり得ます。

法務局で不動産登記簿を確認して相続手続きの有無を調査する

不動産がある場合は、法務局で登記簿を確認することで、すでに名義変更がされているか、誰の名義になっているかを把握することができます。

遺産分割協議が行われていないにもかかわらず特定の兄弟姉妹の名義に変更されていた場合は、手続きの正当性が問題となります。

特別受益・寄与分の主張が可能なケースであるか確認する

特定の兄弟姉妹が生前贈与を多く受けていた場合には、他の相続人との間で「特別受益」として持ち戻しが求められる可能性があります。

また、介護や生活支援などで実質的に被相続人を支えていた相続人は、「寄与分」として相続分の加算を主張できる場合があります。これらの要素を踏まえることで、実質的な取り分の増加を図ることが可能です。

証拠保全・調査の段階から弁護士に依頼するメリット

使い込みや隠匿の証拠は、時間が経過するほど取得が困難になります。

金融機関への照会、通帳履歴の保存、不動産の調査、第三者への証人尋問など、法的な証拠収集には専門的な手続きが必要です。初期段階から弁護士に依頼することで、後に調停や訴訟に発展した際にも有利な展開が見込めます。

遺産隠しや使い込みを弁護士に相談するメリット

法的根拠に基づいて交渉・主張できる

単なる主張だけでは、他の相続人が話し合いに応じないこともあります。

弁護士が法的な根拠に基づいて交渉を行うことで、相手方に対する説得力が増し、実際の財産分割でもご相談者様にとって有利な結果を導きやすくなります。

証拠保全や調停・訴訟に備えた戦略を立てられる

トラブルが深刻化する前に、弁護士とともに適切な戦略を立てておくことで、交渉決裂時にもスムーズに調停・訴訟へ移行できます。

相続問題は一度判断が下されるとやり直しが難しいため、事前準備の徹底が欠かせません。

兄弟姉妹との交渉を一任できる

相手が身内であるがゆえに、感情的なやりとりになってしまうケースも多くあります。

弁護士を通じて冷静かつ対等な立場で交渉を行うことで、ご相談者様が精神的な負担を減らしながら適切な権利を主張することができます。

時間と労力の節約につながる

相続に関する手続きは煩雑で、資料収集や交渉には多くの時間と労力を要します。

弁護士に依頼することで、無駄のないスケジュール管理と法的判断が可能となり、スムーズな解決が図れます。

相続・遺産分割でお悩みの方は西村綜合法律事務所へ

相続において「遺産はもうない」と言われた場合でも、必ずしもその言葉通りであるとは限りません。不透明な財産の管理状況や、兄弟姉妹間での不公平な分配が疑われる場合には、速やかに専門家へご相談いただくことが重要です。

西村綜合法律事務所では、岡山に密着した弁護士が相続問題に迅速かつ丁寧に対応しています。初回相談は無料オンライン面談も可能ですので、遠方にお住まいの方やお忙しい方でも安心してご相談いただけます。証拠収集や交渉戦略の立案から、調停・訴訟の対応まで一貫したサポートを提供しております。どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

この記事の監修者

監修者:西村啓聡

弁護士法人西村綜合法律事務所 代表弁護士

西村写真

注力分野

岡山エリアでの相続分野(遺産分割・遺留分侵害額請求など多数の相談実績)

経歴

東京都内の法律事務所での勤務を経て、岡山県に弁護士法人西村綜合法律事務所を創立。県内を中心に年間約80件の相談を受けており、岡山エリアの相続に強い弁護士として活動。地域に根ざし皆様の拠り所となれるような法律事務所を目指している。