預貯金(銀行口座)や保険の名義を勝手に変えられてしまったら相続でどうすればいいですか?【弁護士監修】
少なくない金額のやり取りが発生する相続の場面では「名義の勝手な変更」を行われてしまうケースが少なくありません。※被相続人(亡くなった方)の財産である保険や預金について、相続人の一人が他の相続人の同意なく単独で手続きを進めてしまうことを指します。
たとえば、遺産分割協議が行われていない段階で預金を払い戻して自分の口座に移したり、保険金の受取人を変更していたりする場合です。
典型的なケースとしては、次のようなものがあります:
- 同居していた相続人が、被相続人の死亡直後に通帳を管理し、他の相続人に無断で預金を引き出した
- 保険契約の受取人をこっそり自分名義に変更していた
- 委任状を偽造して手続きを進めた
これらはすべて、法的には無効または不正な手続きとされる可能性が高く、他の相続人の権利を侵害する行為です。気づかずに放置してしまうと、相続分を不当に減らされてしまうため、早期の対応が必要です。
まずは事実確認を!
保険会社や銀行への確認
最初に行うべきは、関係する金融機関や保険会社への照会です。被相続人の死亡後、どのような手続きが行われたのか、名義変更や解約の有無、そしてその申請者が誰であったのかを確認しましょう。金融機関は、正当な法的根拠があれば、相続人に対して必要な情報を開示する義務があります。
いつ誰が名義変更したか明らかにする
具体的には、「いつ」「誰が」「どのような名義変更手続き」をしたのかを時系列で整理することが重要です。例えば、被相続人が亡くなった日と預金の払い戻し日が近すぎる場合や、保険の解約手続きが死亡前に行われていた場合など、不審な点があれば記録に残しておきましょう。
不審な出金や申請はありませんでしたか?
通帳や保険証券、取引明細などを確認し、不審な動きがなかったかを丁寧にチェックしてください。とくに、大口の出金や定期預金の解約、保険の名義人変更などがないかを確認し、不自然な動きがあれば、後の法的主張の根拠になります。
もし不正な手続きがあれば法的な対応を取りましょう
不当に得た利益の返還を請求できます
他の相続人が勝手に払い戻した預金や保険金は、その人個人の財産ではなく、相続財産の一部です。したがって、民法上「不当利得」として返還を請求することが可能です。すでに使われてしまっていても、返還義務は残ります。
遺産分割協議で調整を要求できます
不正な引き出しや受領があった場合、その分を差し引いて遺産分割を行うことができます。たとえば、ある相続人がすでに500万円を使い込んでいた場合、遺産分割協議でその分を控除して残りの財産を分けるよう主張できます。これにより、結果的にご相談者様の取り分を保全できます。
場合によっては仮差押えや調停申立ても視野に入ります
もし相手方が話し合いに応じず、財産を処分しようとしている場合には、仮差押えを検討すべきです。仮差押えにより、預金や不動産を一時的に凍結することができます。また、任意の協議が困難であれば、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることで、法的に解決を図ることが可能です。
不審な手続きを弁護士に相談するメリット
金融機関等への照会がスムーズになります
弁護士に依頼すれば、相続人としての正当な立場から、銀行や保険会社に対して正式な照会が可能になります。弁護士名義の照会文書であれば、回答が得られやすく、証拠としても信頼性が高まります。必要に応じて、弁護士会照会という手続きも利用可能です。
遺産分割協議や調停の際、法的な主張が可能です
不当な手続きがあったことを主張するには、法的な理論構成と証拠の整理が不可欠です。弁護士であれば、法的根拠をもって交渉や調停に臨むことができ、単なる感情的な主張で終わらせず、正当な権利回復を目指せます。
相続のトラブルは西村綜合法律事務所へご相談ください
保険や預金の名義変更トラブルは、ご自身だけで対応しようとすると、金融機関との交渉や法的知識の不足によって不利な結果を招くこともあります。当事務所では、地元岡山に根ざしながらも、オンライン面談にも対応しており、遠方の方やお忙しい方でもご相談いただきやすい体制を整えております。
経験豊富な弁護士が在籍しており、相続人間の紛争や証拠の収集、調停や訴訟対応まで一貫してサポートいたします。初回相談は無料ですので、「もしかして不正があったのでは?」と感じた時点で、ぜひお気軽にご相談ください。適切な対処を早期に行うことで、ご相談者様の権利を最大限守ることができます。