四十九日のあとに変な遺言書が出てきたら?対処法を解説【弁護士監修】
親族の一人が亡くなり、四十九日の法要が終わった後になって、突然「遺言書がある」と他の相続人から提示されるケースがあります。しかもその遺言書の内容が一方的で偏っていたり、形式に不備があるように見えたりする場合、他の相続人としては「こんなものが本当に有効なのか」と強い不信感を抱くのが自然です。
結論から言えば、遺言書が出てきたタイミングが不自然であっても、それだけで「無効になる」とは限りません。しかし、その遺言が法的に有効かどうかを疑う余地がある場合には、速やかに法的手段を講じる必要があります。
まず確認すべきこと:遺言書の形式と検認
遺言書が自筆証書遺言であれば、まず**家庭裁判所で「検認手続き」**を行う必要があります。これは、遺言の内容が有効かどうかを判断するものではなく、「改ざんされていないか」「署名・押印があるか」など形式面をチェックするものです。なお、封をされたまま勝手に開封してしまうと、5万円以下の過料(行政罰)が科されるおそれがあります。
公正証書遺言であれば検認は不要ですが、それでも内容の正当性に疑問がある場合は別途争う余地があります。
遺言の有効性に疑問がある場合は「遺言無効確認訴訟」を検討
たとえば、以下のようなケースでは遺言無効の可能性があります。
- 筆跡が本人と異なる(他人が代筆した疑い)
- 内容があまりにも不自然で、特定の相続人にだけ著しく有利な内容になっている
- 遺言書の日付がない、署名がないなど形式的な不備がある
- 認知症などで遺言能力(意思能力)に疑問がある時期の作成と推認される
このような場合には、家庭裁判所に**「遺言無効確認訴訟」**を提起し、その有効性を争うことが可能です。特に、被相続人が高齢である、または体調が悪かった時期の遺言書である場合、医師の診断書や介護記録などが重要な証拠となります。
たとえ遺言が有効でも、遺留分を請求できることがあります
仮に形式的に遺言が有効であったとしても、相続人には「遺留分」という最低限の取り分が保障されています。
たとえば、「長男に全財産を相続させる」と書かれた遺言があっても、他の子どもや配偶者には一定割合の遺留分が認められています。これは民法によって保障された権利であり、相続開始と遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年以内に請求することで、金銭として取り戻すことが可能です。
四十九日以降の遺言提示は「悪意」を疑うべきか?
遺言書の提示が四十九日以降になされること自体が、法的に問題になるわけではありません。ただし、そのタイミングが「他の相続人に話し合いの機会を与えない意図」や「特定の相続人を既成事実で押し切る意図」に基づいているとすれば、法的に不誠実な対応と言わざるを得ません。
たとえば、相続登記が進んだ後で急に遺言を出してくるようなケースでは、意図的な遺産隠しや、虚偽の説明によって他の相続人の判断を誤らせる「信義則違反」が問われる可能性もあります。
不審な遺言書が出てきたら弁護士に相談を
このように、突然提示された遺言書に対して対応するには、法的な知識と冷静な判断が必要です。不自然な遺言に戸惑い、感情的な言い争いに発展する前に、証拠の収集・時系列の整理・遺言書の形式確認をしっかり行いましょう。
特に、「遺言無効確認訴訟」や「遺留分侵害額請求」を視野に入れる場合には、できる限り早く弁護士に相談することが重要です。遺言に関する法的手続きには期限があるものも多く、対応が遅れることで権利が失われるおそれもあるため注意が必要です。
西村綜合法律事務所では、遺言書の有効性や相続トラブルに関するご相談を随時受け付けております。
当事務所は地元岡山に密着し、経験豊富な弁護士がスピーディーかつ丁寧に対応いたします。初回相談は無料で、オンライン面談にも対応しておりますので、遠方にお住まいの方でも安心してご利用いただけます。
不審な遺言や相続問題でお悩みの方は、お早めにご相談ください。